日銀9月政策会合で「植田ショック」またある? エコノミストが分析「少しだけ動く」「本気になれば、年内利上げできる」「いや、来年後半以降だ」

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   「植田ショック」がまた起こるのだろうか。2023年9月21日・22日に日本銀行の金融政策決定会合が開かれる。

   9月9日付の読売新聞の植田和男日銀総裁インタビューで、マイナス金利解除の思惑が高まっている。金融政策は現状維持との見方が大勢だが、サプライズを警戒する市場関係者が少なくない。

   「9月会合で動く」「いや、9月はないが、年内の可能性も」「まだまだ、2025年までかかる」......エコノミストの分析を読み解くと――。さすがに難しそうだ。

  • 日本銀行の植田和男総裁(日本銀行YouTubeチャンネルより)
    日本銀行の植田和男総裁(日本銀行YouTubeチャンネルより)
  • 日本銀行の植田和男総裁(日本銀行YouTubeチャンネルより)

読売新聞インタビューが、サプライズの不気味な予兆の気が...

   9月金融政策決定会合で、再びサプライズが起こるかもしれない、と予想するのは、第一生命経済研究所の主席エコノミスト藤代宏一氏だ。

   藤代氏はリポート「経済の舞台裏:日銀は9月に少しだけ動くかもしれない」(9月15日付)のなかで、その理由をこう説明する。

「(9月21日・22日の)日銀金融政策決定会合は金融政策の現状維持が決定される見込み。ただし、声明文のフォワードガイダンス(将来の金融政策方針)が変更されたり、総裁会見の内容が従来対比でハト派色が薄れたりする可能性には注意が必要。
不気味さを禁じ得ないのは、7月のYCC(イールドカーブ・コントロール)柔軟化決定の前に、内田真一副総裁が単独インタビューを通じて、ややタカ派なシグナルを送っていたことがある。今回も同じく金融政策決定会合の約2週間前に植田和男総裁が単独インタビューを通じて『年内』にマイナス金利撤回の素地が整う可能性に言及した」

   つまり、「無風」と思われていた金融政策決定会合の直前に、日銀首脳がインタビューでサプライズ発言を行ない、実際に会合でサプライズが起こった前例があるからだ。

日本銀行本店
日本銀行本店
「金融政策決定会合前の単独インタビューは、サプライズの予兆である気がして仕方ならない。神田真人財務官が語気を強めて為替市場を牽制しているのをよそに、日銀が円安を誘発するような政策態度(金融緩和の継続)を示すかは微妙になってきた」

   では、具体的にはどんな修正があるかもしれないと予想するのか。

「フォワードガイダンスは『引き続き企業等の資金繰りと金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる』という緩和方向に傾いた文言が踏襲されている。これを、たとえば『必要があれば、上下双方向のリスクに対応していく』などへと書き換えることで引き締め方向への政策転換を示唆することができる」

   藤代氏は、こう結んでいる。

「総裁会見もいくぶんタカ派含みになるのではないか。
先の読売新聞インタビューにおいて、(利上げ時期について)来春の賃上げ動向を含めて『年末までに十分な情報やデータがそろう可能性はゼロではない』としたことに関しても、追加の質問が多く寄せられるだろう。
総裁は来年の春闘を見極める必要があるとの回答に終始するだろうが、構造的な人手不足と堅調な企業業績が見込まれている状況、賃金に関して強気な見解を示す可能性はある」
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