未婚者が結婚相手に求める条件...2000年代に入って、男性は女性に「経済力」、女性は男性に「経済力」「容姿」求める割合高まる【人口問題2】(鷲尾香一)

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   少子化は日本の抱える最大の問題と言える。未婚者の結婚や出産に対する考え方、既婚者の出会いと結婚、そして、出産や子育てに対する考え方は、少子化に大きな影響を与える。

   国立社会保障・人口問題研究所の2021年調査の「出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」から、今回は独身者が結婚を踏まえた生活のあり方をどのように考えているのかに焦点を当てる。

結婚相手に求める条件は「人柄」「家事・育児の能力や姿勢」「仕事への理解と協力」

   <未婚者の結婚の意思は、この40年でどう変化したか? 「一生結婚するつもりない」は増加し、独身生活で「行動や生き方が自由」を重視【人口問題1】(鷲尾香一)>の続きです。

   まず、未婚者が結婚相手に求める条件として第1位は、男性の95.0%、女性の98.0%が「人柄」をあげている。次いで、男女ともに、「家事・育児の能力や姿勢」「仕事への理解と協力」となっている。

   ただ、2000年代に入ってから変化がみられるのは、男性が女性に対して「経済力」を求める割合が増加していることだ。1992年には26.7%だったが、2015年には41.9%に増加し、2021年には48.2%と50%に迫っている。

   一方、90%以上の女性が「経済力」求める傾向に大きな変化はないが、男性に「容姿」を求める女性の割合が、1992年には67.6%だったのが、2015年には70%を超えて77.7%に、2021年には80%を超え、81.3%にまで増加している。

   さて、結婚相手に求める条件として未婚の男女ともに、「家事・育児の能力や姿勢」「仕事への理解と協力」が上位を占めるというのは、前述したとおり。

   この中で、将来の結婚、出産・子育て、仕事の組み合わせを、

(1)結婚せずに仕事を続ける「非婚就業」
(2)結婚するが子どもを持たず、仕事を続ける「DINKs」
(3)結婚して子どもを持つが、仕事も続ける「両立」
(4)結婚して子どもを持つが、結婚や出産を機に退職し、子育て後に再び仕事を持つ「再就職」
(5)結婚し子どもを持ち、その後は仕事を持たない「専業主婦」

   の5つパターンから、女性には「理想」と現実的な「予想」を、男性には「希望」をたずねたところ、男女ともに「両立」、「再就職」、「専業主婦」が上位3を占めた。

   ただ、女性の「理想」では、結婚や出産を機に退職し、子育て後の再び仕事に就く「再就職」が、前回(2015年)調査までは最も多かったのだが、今回(2021年)調査では、結婚して子どもができても仕事を続ける「両立」が34.0%、「再就職」が26.1%となり、初めて両者の順位が逆転した。一方、「専業主婦」は一貫して減少を続けており、13.8%にまで低下した。(グラフ1)

   女性の現実的な「予想」でも、「両立」が28.2%、「再就職」が22.7%と初めて両者の順位が逆転した。専業主婦は理想でも減少が続いているが、現実的な予想では3.6%にまで減少している。(グラフ2)

   同様に、男性が「希望」でも、「両立」が39.4%、「再就職」が29.0%と初めて両者の順位が逆転している。専業主婦を望むパターンも6.8%となり、初めて10%を割り込んだ。

   第1回で取り上げたように、未婚男女の結婚意欲や家族をつくる意欲の低下とともに、男女の役割や行動、意識ともに大きく変化していることがうかがえる。こうした結果から、働き方や家事・育児といった男女のあり方における違いが縮小していることが鮮明になっている。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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