ビール減税で大手4社、10月から新商品続々...「第3のビール」との価格差縮まる 各社の「ビールシフト」鮮明に

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   ビール大手4社が2023年10月に、ビールの新商品を続々と発売する。酒税改正でビールが減税となり、増税となる「第3のビール」との価格差が縮まることから、需要の一定部分で「ビールシフト」が起きるとみて、各社、ビールに注力する。

  • アサヒビール「スーパードライ ドライクリスタル」(プレスリリースより)
    アサヒビール「スーパードライ ドライクリスタル」(プレスリリースより)
  • キリンビール「SPRING VALLEY JAPAN ALE<香>」(プレスリリースより)
    キリンビール「SPRING VALLEY JAPAN ALE<香>」(プレスリリースより)
  • サントリー「パーフェクトサントリービール<黒>」(プレスリリースより)
    サントリー「パーフェクトサントリービール<黒>」(プレスリリースより)
  • サッポロビール「サッポロ生ビール ナナマル」(プレスリリースより)
    サッポロビール「サッポロ生ビール ナナマル」(プレスリリースより)
  • アサヒビール「スーパードライ ドライクリスタル」(プレスリリースより)
  • キリンビール「SPRING VALLEY JAPAN ALE<香>」(プレスリリースより)
  • サントリー「パーフェクトサントリービール<黒>」(プレスリリースより)
  • サッポロビール「サッポロ生ビール ナナマル」(プレスリリースより)

アサヒ、スーパードライ低アルコール3.5%「ドライクリスタル」 キリン、クラフトビール「スプリングバレー」第3弾登場!

   アサヒビールは主力ビールの「スーパードライ」ブランドでアルコール度数が通常の5%より低い3.5%の「ドライクリスタル」を10月11日に発売する。スーパードライと同じ酵母を使い、冷涼感が特徴のドイツ産ホップで香りと苦みを引き立たせた。

   スーパードライと同じ標準的な価格帯で、350ミリリットル缶の店頭想定価格は225円前後。販売数量は23年内に150万ケース(1ケースは大瓶20本換算)、2030年に1000万ケース規模をめざす。

   キリンビールは、力を入れているクラフトビール「スプリングバレー(SPRING VALLEY)」で第3弾となる通年商品「JAPAN ALE<香>」の缶商品を10月24日に発売する。

   自社開発した日本産ホップ「ムラカミセブン」などを原料に一部使う。爽やかな柑橘のような香りを楽しめるようにした。350ミリリットル缶の希望小売価格は267円。

   このほか、飲食店向けの小規模サーバーやたる製品も展開する。2023年の販売数量はスプリングバレーブランド全体で前年比37%増の約230万ケースをめざす。

サントリー、「パーフェクトサントリービール」で日本初・糖質ゼロの黒ビールを低価格で サッポロ、「ナナマル」初の糖質&プリン体「オフ」うたう

   サントリーは、糖質ゼロの主力ビール「パーフェクトサントリービール(PSB)」から黒ビールを発売する。10月3日から8万ケース限定で販売。糖質ゼロながら黒ビールの飲み応えを実現した。糖質ゼロの黒ビールは日本で初めてという。

   350ミリリットル缶の店頭想定価格は211円前後。アサヒビールの「スーパードライ」やキリンビールの「一番搾り」など、他社の主力商品より10円程度安く設定した。

   サッポロビールは「サッポロ生ビール ナナマル」を10月17日に発売する。糖質とプリン体の2つの「オフ」をうたう日本で初めてのビールという。開発に約7年をかけ、300回以上の試験醸造を重ねたという。

   350ミリリットル缶の店頭想定価格は主力の「黒ラベル」と同じ225円前後。23年の販売数量は50万ケース、24年は200万ケースをめざす。

350ml缶...「ビール」6.65円減税、「第3のビール」9.19円増税に ...ビール類全体の市場縮小に対抗できるか

   酒税改正で10月から、ビールが350ミリリットル1缶あたりの税額が70円から63.35円へ6.65円の減税になる一方、第3のビールは37.80円から発泡酒と同じ46.99円へ9.19円の増税になる。ちなみに、2026年10月には3種類とも54.25円に一本化される。

   ビールの販売数量は23年7月に前年同月比6%増と7か月連続で前年を上回った一方、第3のビールは11%減と、10か月連続でマイナスだった。

   かつては低価格で消費者をつかんだ第3のビールも、近年は新商品の投入がなく、逆にビールは新商品が増え、各社のビールシフトが鮮明になっている。

   ただ、長い目でみるとビール類の国内市場は21世紀に入って以降、縮小し続け、23年上半期(1~6月)のビール系飲料全体の販売数量は前年同期比で1%減った。

   人口減少のなかで、今回の新製品にもあるようなクラフトビールや低アルコールなどの工夫で、どこまで市場の縮小に対抗できるか。各社の知恵の絞り合いが続く。(ジャーナリスト 済田経夫)

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