これまでの業種や職種とは異なる方面へと進む「異業種転職」。35歳以上のミドル層の異業種転職への関心は?
ミドル世代向けの転職サイト「ミドルの転職」を運営するエン・ジャパン(東京都新宿区)は2023年9月11日に、35歳以上のサイト利用者1532人を対象にした「異業種転職」についてアンケートの結果を発表した。
調査によると、転職活動においての興味として、「異業種の同職種」「異業種の異職種」「同業種の同職種」「同業種の異職種」という4つのパターンのなかでは、「異業種の同職種」が67%で最多だった。
現職種別でみた場合、「異業種の同職種」に興味があるのは「管理部門系」に多く、「異業種の異職種」に興味があるのは「サービス・流通系」「金融系専門職」で多いという傾向があった。
また、人気のある業種は全体では「メーカー」(23%)、「その他(インフラ・教育・官公庁)」(17%)、「IT・インターネット・ゲーム」(13%)となった。もっとも、年代別でみた場合は、30代で「IT・インターネット・ゲーム」(27%)がトップとなり、40代・50代のトップは「メーカー」(40代:23%、50代:24%)が人気だ。
異業種転職で、興味ある職種...「管理部門系」19%、「経営・経営企画・事業企画系」11%、「マーケティング・販促企画・商品開発系」9%
この調査は2023年5月10日から7月10日にかけて、「ミドルの転職」を利用する35歳以上のユーザー1532人を対象にインターネットによるアンケートを行ったものだ。
はじめに、転職活動において異業種・異職種へのキャリアチェンジや同業種・同職種へのキャリアアップなど、どういうスタイルに興味があるかを質問している。
調査によると、「異業種の同職種」「異業種の異職種」「同業種の同職種」「同業種の異職種」という4つのパターンのうち、全体では「異業種の同職種」が「67%」でトップになった。
次いで、「同業種の同職種」が「56%」、「異業種の異職種」が「44%」、「同業種の異職種」が「31%」で続いた。年代別では、「異業種の同職種」は30代で「67%」、40代で「66%」、50代で「68%」となった。
このほか、「異業種の異職種」は30代で「55%」と高い。「同業種の同職種」は40代で「54%」、50代で「60%」だった。
続いて、それぞれの転職スタイルを選んだ人の現職種に注目した。それによると、「異業種の同職種」を選んだ人の現職は「管理部門系」(88%)、「経営・経営企画・事業企画系」と「マーケティング・販促企画・商品開発系」が同率(78%)、「コンサルタント系」(75%)となった。
「同業種の同職種」を選んだ人の現職は「技術系(IT・Web・通信系)」で「70%」、「技術系(科学・素材・食品・医療)」が「69%」、「技術・専門職系(メディカル)」で「68%」。
「異業種の異職種」を選んだ人の現職人は「サービス・流通系」と「金融系専門職」が同率で「62%」、「技術・専門職系(メディカル)」が「49%」、「経営・経営企画・事業企画」が「46%」の順になった。
「同業種の異職種」を選んだ人の現職は「不動産系専門職」で「50%」、「技術系(電気・電子・半導体)」で「42%」、そして「技術系(IT・Web・通信系)」と「技術・専門系(メディカル)」が同率で「40%」となっている。
つぎに、「異業種(同職種・異職種)」への転職に興味がある人に、具体的にどの業種に関心があるか質問した。すると結果は、全体では「メーカー」(23%)、「その他(インフラ・教育・官公庁など)」(17%)、「IT・インターネット・ゲーム」(13%)という結果になった。
年代別では、30代のトップは「IT・インターネット・ゲーム」で「27%」と突出している。30代ではその次が、「メーカー」(18%)、「その他(インフラ・教育・官公庁など)」(12%)という順になった。
一方、40代・50代のトップは全体と同じく「メーカー」(40代:23%、50代:24%)、「その他(インフラ・教育・官公庁など)」(40代:16%、50代:18%)、「IT・インターネット・ゲーム」(40代:14%、50代:9%)となった。
また、「異業種(同職種・異職種)」への転職に関心のある人に、具体的にどの職種に感心があるか質問すると、全体でのトップ3は「管理部門系」(19%)、「経営・経営企画・事業企画系」(11%)、「マーケティング・販促企画・商品開発系」(9%)となった。業種が変わってもスキル・経験が活かしやすい職種が上位を占めている。
一方で、30代が突出している職種に注目すると、「マーケティング・販促企画・商品開発系」が「12%」、「技術系(IT、Web、通信系)」が「12%」、「クリエイティブ系」が「8%」となった。
異業種転職、興味ある理由...「成長業界・給与相場の高い業界で働きたい」42%、「キャリアの幅を広げたい」39%、「新たな専門性やスキルを身に着けたい」35%
さらに、異業種転職に興味がある人に、その理由を聞くと、「成長業界・給与相場の高い業界で働きたい」(42%)、「キャリアの幅を広げたい」(39%)、「新たな専門性やスキルを身に着けたい」(35%)が上位になった。
年代別では、30代では他の年代に比べ、「成長業界・給与相場の高い業界で働きたい」(55%)が突出。50代では「定年後を見据えて幅広い経験を積みたい」(39%)が他の年代に比べ高い傾向がわかった。
異業種への転職に興味を持つ理由として、以下のコメントが寄せられている。
●「成長業界・給与相場の高い業界で働きたい」
・現在の業種、働き方は年齢を重ねていくと難しいと考えたため(30代男性/メディカル)
・現職(自動車部品設計)は給料が低い。EV化で先行きも不安(40代男性/メーカー)
●「キャリアの幅を広げたい」
・今の知識がどこまで通用するか分からず、新しいことを学びスキルアップしたいから(40代女性/メディカル)
・前職でもIT系のクリエイティブな仕事をしており、さらに深いスキルを身に付け、コンサル業務をしてみたいと思ったから(50代女性/広告・出版・マスコミ)
●「新たな専門性やスキルを身に付けたい」
・今後専門的な業務につかないと生き残れないと感じたため(50代男性/メーカー)
・年齢を重ねても続けられるように手に職をつけたいと感じている (50代女性/流通・小売・サービス)
また、懸念していることでは、「選考が通るか」(67%)、「これまでの経験・スキルが活かせるか」(53%)、「年収は下がらないか」(46%)などが上位になった。
「異業種」転職経験の有無について聞く質問では、「ある」が30代で「55%」、40代で「59%」、50代で「56%」、全体で「57%」と過半数を超えた。
また、「ある」と回答した人に、異業種転職をして良かったと感じたことについて聞くと、「仕事の幅が広がった」(64%)、「知識やスキルを磨けた」(57%)、「それまでの経験が活かせた」(36%)という順になった。たとえば、次のようなエピソードが寄せられている。
●「仕事の幅が広がった」
・広告会社から事業会社への転職により、前職までのスキル・ノウハウを活かしながら、上流での意思決定に関与する機会を得られた(30代男性/メディカル)
・人材業界で身につけた企画力が、学校法人で新規事業を立ち上げる際に役立ち、そこで得た新たなスキルが、現在の仕事に活かされている(50代男性/コンサルティング)
●「知識やスキルを磨けた」
・旅行業界から製薬業界に転職し、高度な知識を身につけることができた。また仕事を通じて、PCスキルやプレゼンスキルなども磨くことができた。さらに年収や福利厚生なども上がったことで気持ちにゆとりが生まれ、人としても大きく成長できた。(40代女性/メーカー)
・同職種であっても業界が変わればやり方も違う。それぞれ良いところ悪いところがあり、転職を繰り返すことで知識、経験、給与、人脈などがレベルアップしている気がする。(50代男性/コンサルティング)
●「それまでの経験が活かせた」
・訪問先に前職で付き合いのあった会社もあり、前職の繋がりが活かせた(40代男性/メーカー)
・広告担当から映像制作業務に転職した際に、クライアントの立場が理解できた。スポンサー獲得のきっかけも作れた(50代男性/広告・出版・マスコミ)