膨張続く「国債費」は懸念材料...長期金利上昇受け、利払い費12.8%増9.5兆円の高水準
今回の概算要求で、事項要求の多用などと並んで大きな懸念材料が「国債費」の膨張だ。国債の元利払い(償還や利払い)にあてる支出で、23年度当初予算から2.8兆円増やし、28兆1424億円を計上した。このうち、国債の利子にあたる利払い費だけでは12.8%増の9兆5572億円にのぼる。
近年の利払い費は補正予算を含めても年7兆~8兆円台で推移してきたが、01年度(9.4兆円)以来の高水準だ。国債費の想定金利を1.5%と、23年度から0.4%引き上げた。日銀が政策修正に動き始めたことで長期金利が上昇していることを受けたものだ。
日本の国債残高は、6月末現在で1026兆円と国内総生産(GDP)の約2倍の規模に達し、主要国で最悪の水準にある。もちろん、目先の長期金利が上昇しても、国債は長期・固定金利が多いから、直ちに利子の支払いが急増するわけではないが、中長期的にボディーブローのように効いてくるのは間違いない。
岸田政権は防衛費をはじめ、少子化対策、地球温暖化対策など「重要項目の安定した財源の確保を事実上先送りしている」(9月5日付の日本経済新聞社説)との批判が絶えない。
税や社会保険料などの負担の議論を進める覚悟を示すのか、財政を「平時」に戻すという骨太の方針が空手形になるのか。24年度予算編成が試金石になる。(ジャーナリスト 白井俊郎)