岸田政権、解散・総選挙を意識し大型補正予算を提出方針...「歳出のタガは緩んだまま」との指摘も
岸田政権は6月の政府の経済財政運営の指針(「骨太の方針」)で、「歳出構造を平時に戻していくとともに、緊急時の財政支出を必要以上に長期化・恒常化させないよう取り組む」と明記した。コロナ禍への対応などを名目に兆円単位の予備費を積むなど財政の危機モードから、平時に転換させる考えを打ち出していた。
だが、防衛力の強化や少子化対策など政権の重点政策として予算が積み上がる一方、非常時に膨らんだ経費の削減は進んでいない。早ければ年内ともいわれる解散・総選挙を意識し、ガソリン高騰対策の延長など大型補正予算を編成し、秋の臨時国会に提出する方針で、「歳出のタガは緩んだままだ」(大手紙経済部デスク)。
大手紙の社説も軒並み厳しい論調で、政府支持が常の読売新聞の社説(9月7日)でさえ「要求総額はコロナ禍前に行われた20年度予算の概算要求の約105兆円を大きく上回っている。今回の要求を見る限り、(平時に戻すという)骨太の方針の記述を実現しようとする姿勢は感じられない」と手厳しく批判。産経新聞の主張(社説に相当=9月3日)も、重要政策推進枠について「看板施策であっても政策効果は厳しく問われなければならない」とくぎを刺している。