概算要求、114兆円超え過去最高を更新...膨らむ「事項要求」 緊急支出の削減も進まず...「平時」への転換方針、予算編成が試金石

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金額示さぬ「事項要求」の主役は少子化対策...児童手当拡充など、大半が具体策決まらず

   概算要求は、シーリング(天井)といわれる基準に基づき、各省庁が政策に優先順位をつけて必要な額を見積もるもので、年末の政府予算案決定に向け、財務省が要求を査定し、予算規模の野放図な膨張を抑える仕組みだ。

   金額を示さないものを「事項要求」といい、概算要求時点で先行きが見通しにくい政策を対象に、例外的に認めているが、近年は「乱用」が目立つ。

   1年前の23年度予算編成では、22年末に「防衛力整備計画」などの改定を控えていたことから防衛費で事項要求が相次ぎ、最終的に概算要求(5兆5947億円)から1兆円以上膨らんだ。

   今回の24年度予算の概算要求では、事項要求の主役は、前記のように少子化対策に移った。政府は23年6月に「こども未来戦略方針」を閣議決定したが、必要な予算は年3兆円台半ばとされる。

   しかし、財源や具体的な取り組みは年末までに策定するとして先送りしたため、目玉となる児童手当の拡充(1兆円以上の追加費用が必要と見込まれる)を含め、大半が事項要求になった。

   今回の事項要求分にはこのほか、マイナンバーカードと保険証の一体化▽物流分野での鉄道や船の利用促進▽駐留米軍の弾薬確保▽大阪・関西万博の関連経費▽エネルギー価格・物価の高騰対策▽ウクライナへの緊急支援――などが並ぶ。

   こうした予算編成の取り組みは、財政規律の上で問題だとの指摘は多い。

   鈴木俊一財務相は事項要求について、「概算要求の段階で具体的な所要額を見込むのが困難なものもあり、一定程度の事項要求が生じることはやむを得ない」として、年末までに厳しく査定する方針だが、重要政策推進枠を含め、「政権の重点政策として要求すれば予算を確保しやすい」(経済官庁幹部)との声も聞こえる。

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