上司に「君は何を言いたいの?」と注意されないように...【尾藤克之のオススメ】

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   あなたには、こんな悩みはないだろうか? 「言いたいことがありすぎてまとまらない」「話している途中で、イライラさせてしまう」「気の利いた返しができない」「周りが思ったように動いてくれない」「相手を否定せずに自分の意見を通したい」...。

   今回紹介するのは「1分トーク」の専門家が明かす、意見が通り、味方が増えるテクニックを整理した一冊である。

『一生使える「1分で伝わる」技術』(沖本るり子著)大和出版

情動のハイジャックとは?

   「情動のハイジャック」という言葉をご存じだろうか。大ベストセラーにもなった、『EQ こころの知能指数』(ダニエル・ゴールマン著)のなかでも紹介されている、印象的なフレーズである。

   「売り言葉に買い言葉で熱くなった状態」「上司の叱責で緊張のあまり言い返せなくなった状態」。こういった強い感情に支配される場面は少なくない。子どもにありがちな「キレる」という状態も、情動(感情)がコントロールを失っている。最近、話題にのぼる、パワハラ上司などもそうだろう。「怒り」「嫌悪」といったマイナスの感情を感じると、「情動のハイジャック」が発生しやすい。

   これらの情動がパニックを起こした状態のことを、ダニエル・ゴールマンは「情動のハイジャック」と称した。「情動のハイジャック」を起こした状態では、適切な判断をおこなうことは難しく、業務遂行に支障をきたしていることは明白である。

   情動のハイジャックが発生しやすいものに「会議」がある。ハイジャックされると、建設的にはならない。会議の際に、悪影響を及ぼすのは『ネガティブオーラ』である。しかし、ルールをつくっておけば心配ない。議論がネガティブな方向に進んだら、マイナス面ではなく、「どうすればいいのか」を考えればいい、と著者の沖本さんも指摘する。

「物事の見方や考え方をプラス・マイナスの両面で捉えることは大切です。考えることで、改善策、予防策につながるからです」(沖本さん)

相手を動かすのがビジネスの要点

   本書は「伝える」「伝わる」からさらに踏み込み、「伝わった結果、相手が期待以上に動いてくれる」ことをゴールにしている。

   また、シミュレーションの設定が豊富である。「何か意見はないですか?」と尋ねても、積極的な意見が出されることは稀である。管理職の役割のひとつに、「課題解決」がある。課題を追求するのではなく、将来の課題を設定し、解決策を導き出す行動特性になる。これも、自分ごととしてとらえなければ、成果にはつながらない。

   非効率な仕事でも事実が積み重なると、「仕事をした気分になる」から不思議なものである。もし「私のことだ!」とピンときた方は、本書をめくっていただきたい。

・何を話すか最初に宣言すれば、相手をイライラさせない
・プライドの高い上司には、偉人の言葉を借用する
・褒めるよりも、「下から目線」で教えを請う
・ちょっと厚かましい「前提条件」を設ければ、断られない
・相手の「行動」を聞くと、雑談が弾みだす
・やんわり否定したいときには、「思考」を尋ねる etc.

   こんなちょっとのコツで、仕事も人間関係も、劇的にうまくいくようになる。積極的に意見を述べ、参加意識も高い会議にするには、やり方にコツがありそうだ。あなたの会社ではどうだろうか。気持ちを新たに出席したいものである。(尾藤克之)

尾藤 克之(びとう・かつゆき)
尾藤 克之(びとう・かつゆき)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。著書は『最後まで読みたくなる最強の文章術』(ソシム)など19冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も連載中。
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