Google検索では物足りない人に...「ずるい検索」テクニック

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   検索と聞いて最初にイメージするのはGoogle検索だろう。キーワードを入力すれば、有益な情報、信頼性が高いと思われる情報が上位に表示される。

   本書「ずるい検索」(クロスメディア・パブリッシング)は、Google検索を超えて、より専門的な内容や限定された情報を得るための適切な検索方法を集めた本だ。

「ずるい検索」(江尻俊章著)クロスメディア・パブリッシング

   著者の江尻俊章さんは、一般社団法人ウェブ解析士協会代表理事。著書に「繁盛するWebの秘訣「ウェブ解析入門」Web担当者が知っておくべきKPIの活用と実践」などがある。

勝手に情報が集まる「仕組み」をつくるには?

   本書は検索のための「辞書」のような本である。自分が使いたいと思った項目をその都度、開けばいいだろう。項目ごとに、参考になりそうなツールをいくつか紹介しよう。

〇「知りたいこと」を調べられるようになる

   外国語を簡単に翻訳するツールの代表は、「Google翻訳」だ。Chromeのブラウザを使い、英語で書かれたページで右クリック、「日本語に翻訳」を選べば、ページ全体を簡単に翻訳してくれる。ブラウザだけでなくアプリもあり、高機能で無料だ。

   最近、Google翻訳をしのぐと言われるのが、「DeepL」。AIを活用した機械学習が備わっており、Google翻訳よりクオリティが高いと評価する人も少なくない。

   Googleなどの検索エンジンは、ユーザーの検索履歴や閲覧履歴を保存し、そのデータをもとに「ユーザーが必要としているであろう」結果を出力する。自分の属性に関係なく検索上位のサイトを知りたいときは、Chromeの「シークレットモード」やSafariの「プライベートモード」での検索を勧めている。

   また、「Googleアカウントを管理」の中の「データとプライバシー」からも、検索履歴や位置情報などGoogleにどのような情報の収集を許可するかコントロールできる。

〇勝手に情報が集まる「仕組み」をつくる

   チェックしたいサイトの情報を自動収集するのに便利な、スクレイピングソフトというツールがある。特定の地域のお店の住所や評価の点数、Amazonや楽天での商品の価格や口コミの一覧、求人情報の一覧と応募数などの情報を集めるのに便利だ。無料のものはあまり役に立たないという。「Octoparse」という有料ソフトを勧めている。

   自社に関する記事が出たら知らせてもらいたいときに役立つのが、「Googleアラート」(無料)だ。指定したワードに関する検索結果をメールで知らせる。

〇「ソーシャルメディア」の力を最大限に活用する

   Instagramは画像や映像に特化したソーシャルメディアとして人気だが、若年層の間では検索ツールの主流になりつつある。消費者のニーズを知りたいとき、お店や企業のリアルな感想を知りたいときに役立つという。

   Instagramでの検索のメリットとして、検索エンジンに比べてSEO(検索エンジン最適化)などの影響が少ないことを挙げている。

   また、利用者の「リアルな声」を聞くことができる。たとえば「海鮮丼」の店を探す場合、検索エンジンで調べればGoogleマップや「食べログ」のようなサイトが並ぶ。写真は店が提供したものだ。

   一方、Instagramではユーザーの写真が中心で、実際にその店に行った人の生の感想を知ることができる。

   Instagram用の無料のマーケティングツールとして、「instatool」を紹介している。人気のアカウントやハッシュタグを知ることができるので、自社のアカウントの改善点を導き出すこともできる。

「ビジネスを加速させる情報」を調べるには?

〇「便利ツール」を駆使して効率を高める

   ビジネスシーンで重要なのが、飲食店選びだ。接待に使える店を探すときに役立つのが、「LINE PLACE(無料)」だ。興味のあるエリアや好みが近い人をフォローすることで、自分に合ったグルメ情報を受け取ることができる。

   予算が決まっている場合、Googleで検索したい価格帯をダブルピリオド(..)で結ぶと、価格帯の条件を絞り込んで検索してくれる。

   たとえば、「東京 ディナー 個室 10000..15000」と入力すると、1万円~1万5000円の価格帯の、東京都にある個室完備のレストランが表示される。

〇「コンテンツ作り」で周囲に差をつける

   ビジネスに使える写真素材を集めるときに役立つサイトを紹介している。たとえば、「photoAC(無料)」には、日本人のモデル写真が多く、「笑顔」「びっくり」など細かい条件で絞り込み検索が可能だ。

   自然や風景の写真でお勧めなのが、「PAKUTASO(無料)」。美しい風景の写真や、AIで生成した画像が多くポスターやDMに利用しやすい。

〇「ビジネスを加速させる情報」を調べる

   商品をEC(電子取引)で販売するとき、コストパフォーマンスがいいのはAmazonだという。売れているカテゴリーを知るには「SellerSprite」が便利だ。それぞれの商品のAmazon全体での売上金額や推移も分かるという。

〇「ウェブサイト分析」で自分が打つ手を知る

   自社のウェブ戦略を考えるとき有効なのは、成果の出ている競合他社や有名な企業のウェブサイトが、どのように運用されているかを分析することだ。

   そのために使えるのが、「Similarweb」。対象のサイトを訪れる人がどのようなワードで検索しているかがわかる。またページビューやセッション数、プロモーション手段がわかる。

   さらに、そのサイトにユーザーがどのようなチャネルから来ているかや、サイトを見ているユーザーがそのほかに訪問しているサイトもわかる(有料・無料で機能が異なる)。

   実にさまざまな検索ツールがあることを知った。Googleでキーワードを打ち込むだけの検索では物足りなくなるだろう。(渡辺淳悦)

「ずるい検索」
江尻俊章著
クロスメディア・パブリッシング
1958円(税込)

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