「自分はどう生きるべきか」をインプットしよう
では、伸びるスタートアップはどうすれば見極められるのか。
「優れたベンチャーキャピタリストが投資する企業を選べばいい」と即断している。ベンチャーキャピタリストは、スタートアップと常に向かう最高の目利きなのだから、その目利き力に頼るのだ。
経済情報誌「Forbes」が毎年発表している「ミダスリスト」というベンチャーキャピタリストのランキングを見て、後はそのベンチャーキャピタリストが投資する会社を見ればいいという。また、「STARTUP DB」などのデータベースも参考になるそうだ。
「会社と自分のミッションが合わないと気づいたときが、辞めどき」だと書いている。今のままでは負けていく日本で、「安定」に「普通」を生きることは怖さにつながるという。だから、自分が「普通」だと感じる人にこそ、果敢に「旬」の市場を狙って、勝ち馬に乗りにいくことを勧めている。
最後に、スタートアップ転職した5人の成功事例を紹介している。メガバンクからスタートアップのAI企業に営業として入社、現在は執行役員になった人、証券会社、総合商社を経て研究者支援のスタートアップの執行役員になった人などのインタビューを読むと、それぞれ貪欲にキャリア形成に努めてきたことがわかる。
志水さんは、スタートアップへの転職の前に、まず「インプットを変える」ことの重要性を説いている。
あるベンチャーキャピタリストとの出会いが、その後の人生を変えた体験を披露している。スタートアップカンファレンスや勉強会に行き、参加者のレベルやモチベーションを体感して、「自分はどう生きるべきか」をインプットすることを勧めている。
経済的なことを中心に紹介したが、本書の根底には社会課題を解決したいという熱い思いが流れている。それは、スタートアップに共通した理念でもある。(渡辺淳悦)
「スタートアップで働く」
志水雄一郎著
ディスカヴァー・トゥエンティワン
1870円(税込)