「本を読んでも、すぐに内容を忘れてしまう」「せっかく読書をしても、記憶に残っていない」「凄くおもしろかったのに、少し時間がたつと内容が思い出せない」「読んだのに覚えてない」
そんな読書の悩みは、いつの時代も不変です。今回紹介する本書は「読んだはず読書」にあけくれる、「読書迷子」を救済することを目的に上梓されました。
『読書脳』(樺沢紫苑著)サンマーク出版
読書の後には、アウトプットを
樺沢さんは、毎月20冊以上の読書を30年以上続けている。これはインプットとしてはかなりのボリュームといえるだろう。また、18時以後は働かない、月10本以上の映画鑑賞、月20冊以上の読書、週4~5回のジム通い、月10回以上の飲み会、年30日以上の海外旅行と、「普通の人の3倍以上は遊んでいる」と言う。
「なぜこんなことができるのかというと、アウトプットの方法を工夫し、インプットとアウトプットのバランスを整え、学びと自己成長のスピードを最大化することに成功したからです。人生は、アウトプットで変わります。仕事や勉強をアウトプット中心に切り替えるだけで、計り知れない能力を発揮することができるのです」(樺沢さん)
「本を100冊読んでも、まったくアウトプットしなければ、現実の世界は何ひとつ変化することはありません。インプットは『脳内世界』が変化するだけ。アウトプットして、初めて『現実世界』を変えることができます。目の前の現実を変えたいなら、どんどん話して、書して、行動しなければいけません」(同)
本書では読書に関するアウトプットの重要性と、自己成長につなげる方法が伝えられている。本を読みっぱなしでは身に付かないということでもある。
「インプットとは、脳の中に情報を入れる、つまり『入力』すること。アウトプットとは、脳の中に入ってきた情報を脳の中で処理し、外界に『出力』することです。『読む』『聞く』がインプットで、『話す』『書く』『行動する』がアウトプットです。本を読むのはインプット。その感想を友人に話せばアウトプットになります」(樺沢さん)
「本の感想を文章に書くのもアウトプットですし、本の内容をもとに実際に行動してみることもアウトプット。勉強なら、教科書を読むのがインプット。問題集を解く、テストを受けるのがアウトプット。理解した内容を友人に説明する、教えるのもアウトプットです。インプットすると、脳の中の情報や知識が増えます」(同)
読書は、集中力が高くなりやすい時間帯に
私は、2010年から年に数百冊の書籍紹介をおこなっている。だから、日々のインプットもアウトプットも欠かせない。経験上、本を読む作業は、ルーティン化したほうが効率はよい。限られた時間で本を読まなくてはいけないときには、こうした読書のスピードや吸収力が加速する方法を実践した方がいいだろう。
「読書をするとき、集中できない」という方は多いと思う。集中力が低い状態で本を読んでも、頭に入ってこないしアウトプットも難しい。では、どうすればいいのか。集中力を高めて読むためには、集中力が高くなりやすい時間帯に本を読むことが必要である。
私の場合は、夜寝る前の1時間に、なるべく読書の時間を取るようにしている。朝型の人は朝に本を読むといいだろう。朝は起きたばかりで頭が整理されている状態。読んだ本の内容が頭に入りやすい状態で、本を読むことができる。
人によって夜型、朝型の違いがある。ポイントは無理をせず、読みやすい時間帯に合わせること。集中力も高まり、あなたの人生を豊かにしてくれることだろう。
そのほかにも、集中力を高める方法がいくつかあるが、前提は睡眠をたっぷりとること。睡眠をとらなければ、体調は万全とはいえない。寝不足の状態を引きずると、効果は半減する。「睡眠」は集中力を高める絶対条件として認識しておくことが望ましい。
なお、樺沢さんが独自のアウトプット理論を確立したのは40歳を過ぎてからになる。学びに年齢は関係ない。結果が出る読書術をこの機会にお試しいただきたい。あなたが、心を豊かにする1冊に出会えますように。(尾藤克之)