日本人は「人見知り」が多いのか?【尾藤克之のオススメ】

   「日本人は70%もの人が人見知りで悩んでいる」。今回紹介したい本の著者はそう言っている。そのうちの大半が、子どもと女性という点に特徴があるらしい。本書を読むことで人見知りのメカニズムが理解できる。これで、オドオド、イジイジ、アワアワからはお別れしよう。

『12歳から始める人見知りしない技術』(鳥谷朝代著)秀和システム

「人見知り」の定義はあいまい?

   日本人は、人見知りが多い人種だと言われている。自分のことをなぜ「人見知り」と思うようになったのか。お母さんやお父さん、まわりの人に言われたっていう人もいるが、多くの人は自分で自分のことを「人見知り」だと理解するようになる。

「人見知りとは、初めて会う人に対して、上手にコミュニケーションが取れない性格のことをいいます。わかりやすくいうと、はずかしがりやのことです。内気な人っていう言い方もできます。でも判定がむずかしいと思いませんか? どういう人がはずかしがりやで、どういう人が内気な人なのか? 『人見知り』の定義はあいまいです」(鳥谷さん)
「足が6本あるから昆虫、辺が3つあるから三角形みたいに、だれもが同じ物差しで同じように決められるものではありません。もちろん、見た目で明らかにモジモジしていたら、わかることもあるでしょう。そんな様子があれば『この子は人見知りなんだな』と、まわりの多くが思うかもしれませんね」(同)

   鳥谷さんによれば、中学生くらいになると、そのようにだれから見てもハッキリわかるような人見知りだ、ということは少なくなってくるようだ。成長するにつれて、ある程度その場をやりすごす言動が、できるようになってくるからである。

なぜ「12歳」からなのか?

   著者の鳥谷さんは、中学1年生で、国語の授業で教科書を読んでいるときに、はじめて緊張を覚えたそうだ。先生に当てられて、ただ決まった文章を数行読むだけなのに、声がふるえて息が苦しくなってしまった。

   それ以来、人前で本を読むことがこわくなり、出席番号順で「今日あたりそうだな」とわかっているときは、仮病を使って、保健室ににげこむようになっていた。

   本書のタイトルにある「12歳」にはどのような意味があるのか――。おそらく、中学1年生が読むことを意識して、このようなタイトルになったのだろう。人見知りや緊張しやすいことを意識するのは、中学1年生くらいが多い。この時期に自覚できないと、人に対して「苦手意識」をもつ可能性がある。

   対策を講じるなら、自覚したときがベターだということになる。そこでたとえば、親が読んだ後に子供に読ませればいい。思春期の、自我が芽生える時期だからこそ、何らかの気づきがあるかもしれない。毎日の生活で無理なく実践すれば、早期克服も容易だろう。

人見知りする多くの人へ

   なお、本書には、実践方法が多岐にわたり紹介されている。職場でも、仕事先でも、日常会話でも楽に話せる方法が記されている。中学1年生以外にも、心強い1冊になるだろう。

   著者は中学1年のころから「あがり症」に苦しみ、就職しても悪化した。通院して催眠療法を試みたりしたが効果はなかった。ところが、ある話し方講座と出会い克服。今では人気講師として、カルチャーセンターや講演活動で全国各地を回っている。緊張しないコツとはなにか、どうすれば人見知りをしないのか。この機会に覚えたいものだ。(尾藤克之)

尾藤 克之(びとう・かつゆき)
尾藤 克之(びとう・かつゆき)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。著書は『最後まで読みたくなる最強の文章術』(ソシム)など19冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も連載中。
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