コロナ禍が示した「近未来」...鉄道会社はどう生き残る?

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相次ぐ私鉄の沿線開発

   21年度は、コロナ禍の影響が収まってきたこともあり、大手私鉄16社は東京メトロと京成電鉄を除いて黒字転換した。だが、鉄道事業に限ると黒字は、東武、小田急、近鉄、京阪、阪急、阪神の6社にとどまった。

   トレンドになっているのが、座席指定制のライナーだ。京王などが導入している。さらにICカードと連携させたポイントサービスの導入の試みも始まった。東京メトロは22年5月に、月2000円を払えば、土日・祝日が乗り放題になる「休日メトロ放題」のトライアルを行った。

   JR東日本は23年3月、東京の「電車特定区間」にオフピーク定期券を導入した。朝の利用がピークとなる時間帯が利用できない代わりに約10%値下げ、一方井、通常の通勤定期券を約1.4%値上げした。時間帯や曜日に応じた変動運賃、「ダイナミックプライシング」が日本でも始まった。

   新たなビジネスモデルの試みも紹介している。たとえば、西武ホールディングスは、所沢駅(埼玉県所沢市)を最重要エリアに位置づけ、駅直結の商業施設をオープン。ベッドタウンからリビングタウンへと、自宅近辺での需要創出に乗り出した。

   小田急は、下北沢駅沿線が地下化された跡地に「下北線路街」を22年に全面オープン。商業施設ではあえてチェーン店を入れず、個人経営の店を集めた。温泉旅館や学生寮など、想像できない施設もある。沿線の価値を高めるため、通常のテナント誘致の10倍の手間をかけたそうだ。

   次に待っているのが、新宿西口の再開発だ。京王はJR東日本と組んで再開発を発表。小田急は共同事業パートナーとして、東急グループの東急不動産を迎え入れることにしたという。

   「目的を済ませたら帰る場所」とされてきた新宿西口が、大規模開発が進む渋谷や品川と勝負できるか、注目している。

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