9月FOMCで「ドットチャート」が焦点になる理由
いずれにしろ、9月19日、20日に開かれるFOMCが焦点になるが、どんな点に注目すればよいのか。
FOMCの会合後に公表される「ドットチャート」に注目しようと強調するのは、三井住友DSアセットマネジメントのーフマーケットストラテジスト市川雅浩氏だ。
市川氏のリポート「2023年9月FOMCプレビュー~今回の注目点を整理する」(9月14日付)によると、ドットチャートとは、会合のメンバーが適切と考える「政策金利水準の分布図」のことだ。
市川氏は、利上げは今回見送りになり、声明や記者会見で政策判断はデータ次第との意向を引き続き示すと予想する。その際、重要なのは、2023年末や特に2024年末のドット中央値の水準だという【図表2】。その理由をこう説明する。
「ドットチャートについて、今回は先行きの金融政策を見通すうえで、最も注目される材料と考えています。前回(今年6月のFOMC)、2023年末のドット中央値は5.625%でしたので【図表2】、現時点では年内あと1回、0.25%の利上げ示唆となります。
そのため、今回、2023年末のドット中央値が前回と同じなら、年内に0.25%の追加利上げ、前回から0.25%低下なら年内は利上げなし、という市場の受け止めになるとみられます。
また、前回は2024年末のドット中央値が2023年末から1%低下しているため、2024年は0.25%の利下げ4回を示唆、同様に2025年は0.25%の利下げ5回を示唆と考えることができます」
つまり、ドットチャートを見れば、年内に利上げがあるかどうか、また、来年(2024年)の利下げがどのくらいの回数、水準になるか、予想できるというわけだ。
ただし、市場でもおおよその水準はすでに予想して織り込んでいる。予想通りなら市場への影響は限定的だが、想定外の修正もありうる。
市川氏はこう結んでいる。
「最近のドル円は、2024年の政策見通しに大きく反応する傾向があることから、ドットチャートの、特に2024年末中央値の水準次第では、ドル円相場が大きく動くことも考えられます」
(福田和郎)