米ウォール街困惑、FRBに「後味の悪さ」残した米8月消費者物価...利上げ打ち止めはあるか? エコノミストが注目する「スーパーコア」とは?

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パウエル議長が重視する「スーパーコア」が再加速

ニューヨーク証券取引所
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   一方、今回のCPI結果は「強弱ミックス」の内容となり、利上げ打ち止めを正当化するほどの根拠はないと指摘するのは、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。

   木内氏はリポート「米国8月CPI:FRB利上げ打ち止めの判断は先送りへ」(9月14日付)のなかで、第一生命経済研究所の藤代宏一氏と同じく、

「総合CPIと比べて、コアCPIのほうがより基調的な物価の動向を表しており、FRBが金融政策を決定する上で重視する。この点から、今回のCPIは、物価上昇率のトレンドが低下傾向を辿(たど)っており、FRBが目先の追加利上げを見合わせることを正当化する内容だ」

   と認める。

   しかし、「利上げを打ち止めを正当化するほどの材料ではない」として、「スーパーコア」の数値に着目した。「スーパーコア」とは何か。FRBのパウエル議長が注目している「住宅関連とエネルギー関連を除いたサービス価格」のことだ。最も頑固な労働集約的サービス産業に徹底的に絞り込んだ指標なので、市場では「スーパーコア」と呼んでいる。

ドル紙幣
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   パウエル議長が2023年3月の上院議会証言で、「消費者支出の半分以上を占めるスーパーコアに、ディスインフレーション(インフレ鈍化)の兆しが見られない」と語ったことから注目された。

   この「スーパーコア」が再加速しているのだ。

「いわゆる『スーパーコア』は前月比プラス0.4%と、過去5か月で最大の上昇となった。FRBは、エネルギー価格の上昇は一時的なものとみなすだろうが、このコアサービス価格の高い上昇率は見逃せない。
アトランタ連銀のGDPNOWによると、7~9月期の実質GDPは、前期比年率プラス5.6%の見通しである。成長率は4~6月期の同プラス2.1%から加速する。成長率の加速によってコアのサービス価格の上昇率が再び高まっているのであれば、FRBはさらなる利上げを通じて、需要を抑えることが求められる」

   こうしたことから、木内氏はこう結んでいる。

「11月のFOMCで利上げが打ち止めになるかどうかはなお不確実であり、さらに追加利上げが実施される可能性も残されている。他方、景気減速が鮮明となれば、来年の利下げ幅が市場予想よりもかなり大きくなる可能性もあるだろう。
FRBの利上げは最終局面という市場のコンセンサスは固まりつつあるが、そうしたなかでもなお、FRBの金融政策見通しの変化を受けた、金融市場の高いボラティリティ(価格の変動性)は続く見通しだ」
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