コオロギは、食糧難を回避するための「最適解」になり得るのか?【前編】/コオロギ食「エコロギー」代表・葦苅晟矢さん

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コオロギ食は、食の問題と地球環境の問題の同時解決のソリューションの1つに

   同社の主力商品は「エコロギーパウダー」というコオロギを粉末化したパウダーだ。

   葦苅氏いわく、エコロギーの強みは商品の原料であるコオロギについての最先端の知見と、その仕入れ先であるカンボジアでの養殖事業にあるという。

――コオロギをタンパク源として社会に商品を出していくというコンセプトは、やはり、将来予想される食糧事情の悪化を改善していきたいという思いから生まれたのでしょうか。

葦苅氏 そうですね。あと、もう1つは環境保護の観点もあります。食の問題と地球環境の問題を同時に解決していきたいと思った場合、コオロギ食はその解決策の1つになり得るという確信があったからこそ起業しました。

――コオロギ食に関して、エコロギー様ならではの強みとは何でしょうか。

葦苅氏 早稲田大学大学院での研究をベースとするコオロギについての最先端の知見と、弊社のコオロギの仕入れ先であるカンボジアでの養殖事業の掛け合わせが、弊社の強みだと考えています。
弊社では、「こういうエサを与えたら、こういう成分が多く含まれているコオロギができる」といった、与えるエサと商品の成分比の関係を理解しています。そのため、サプリメントになるような機能性成分などの特定の栄養素を多く含むコオロギの養殖が可能です。

――なるほど!

葦苅氏 あとは、コオロギの加工技術ですね。コオロギ食の一般的な形は粉末ですが、従来、粉末化の際にはどうしても、昆虫特有のクセや苦味が風味として残ってしまっていました。ところが、弊社の粉末化の技術では、これらのマイナスの要素を抑制しつつ、かつ、うま味を強めることができます。こうした技術をもとにカンボジアで大量にコオロギを養殖し、「エコロギーパウダー」を生産できるところが他社との違いかもしれません。

――そうなんですね! コオロギの原産国はカンボジアとのことですが、エサは何を与えているのでしょうか。

葦苅氏 一言で言いますと、フードロスです。これは、みなさんがイメージされるであろう、まだ食べられるのに廃棄される食品とはニュアンスが異なります。弊社では、2つのフードロスを用いています。

――具体的に、どういったものでしょうか。

葦苅氏 1つは、農作物のうち、可食部分以外の副産物です。カンボジアは農業国なので、こういったものが多数出ています。たとえば、タピオカの原料であるキャッサバの葉がまさしくそれです。栄養価が高いにもかかわらず、廃棄されているのが実情です。
また、もう1つは食品工場から出る「不良品」です。日本の場合、回収業者がそれなりに発達しているかと思いますが、カンボジアでは未発達で、廃棄に難儀している工場は多いんです。
これは余談ですが、昨今、日本ではだいぶフードロスが問題視されるようになって取り組みが進んでいますが、カンボジアではまだフードロスを扱う業者様が少なく、有効活用されていないのが現状です。

――こうしたフードロスを、コオロギはエサとするわけですね。

葦苅氏 コオロギは雑食性なので、フードロスをそのまま与えることができます。農作物の人間が食べない部位などをコオロギに与えることで、新しいタンパク源や機能性成分に変わっていくという「循環」が生み出されているのです。
ちなみに、弊社では過去に、いろんな原料(フードロス)を集めて、複数の種類のエサを作りました。それらを与えた結果、それらのうちのある1種類でコオロギのパウダーの成分の栄養価が高まるということがわかりました。これらの知見を合わせ、現在でも、さらなる最適化を目指してエサの研究開発を進めています。
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