ある日、子どもの学校給食が突然なくなったら? 給食事業者の3割赤字、6割経営悪化! 食材と人件費増の大ピンチに、大手参入で競争激化

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競争入札が多く、値上げは数年に1度の制限がある

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学校給食の調理場(写真はイメージ)

   帝国データバンクの調査は、学校や企業、官公庁などの食堂を運営したり、保育・介護施設などに給食弁当を配送したりする「給食事業者」374社が対象だ。

   2022年度の利益動向を調べると、374社のうち、34.0%にあたる127社が「赤字」と判明。前年度から「減益」(29.1%)も含めると、全体の6割超(63.1%)で業績が「悪化」した【図表1】。また、コロナ禍以降(2020年度~)から3年連続で赤字となった企業は約1割を占めた。

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(図表1)給食事業者の損益状況(帝国データバンクの作成)

   足元では、給食事業の入札に参加する業者が増えており、価格面で競争が激化している。加えて、生鮮食品や加工食品を含めた食材価格の高騰、調理スタッフや栄養士などの人手不足による人件費増、原油価格上昇による光熱費の上昇が響き、当初の契約金額では賄いきれず利益面で悪化する事業者が多くみられた。

   【図表2】は、給食事業者にどのくらい価格転嫁ができているかを聞いたグラフだ。15%が「0%=まったく価格転嫁できていない」と回答した。価格転嫁ができた企業でも、「20%未満」(35%)や「50%未満」(15%)にとどまる企業が多く、全体の65%がコスト増の半分しか価格転嫁できていない状態だ。

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(図表2)給食事業者の価格転嫁動向(帝国データバンクの作成)

   コスト上昇分をすべて価格転嫁できた企業はゼロだった。100円コストがアップした場合、価格に転嫁できた割合の平均は27.1円で、ほかの業種を含めた全産業の平均(43.6円)を大きく下回った。

   価格に反映ができない給食事業者の声を聞くと――。

「競争入札が多いため、値上げは数年に1度など制限が設けており、合意手続きが複雑」
「社員食堂なので、値上げをかたくなに拒絶され、取引停止を盾に交渉に応じる様子もない」
「値上げをしたが、仕入れ商材が相次いで値上げするので、当初予定していた価格では十分カバーできないし、何回も短期間に値上げできない」

   などといった、給食事業者特有の事情の厳しさを訴える声が相次いだ。

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