日本国内だけでも2027年には2兆円に迫ると予想されている「ソーシャルマーケティング」(SNSを活用したマーケティング)で、動画コンテンツの市場に注目が集まっている。
そうしたなか、Gartner Digital Marketsが運営する、SaaS/ソフトウェア製品の比較プラットフォームのCapterra(キャプテラ)がSNS動画マーケティングの実態調査をしたところ、動画マーケティングにかける予算は全体マーケティング予算の2割を上回る程度にとどまる一方で、2023年の動画マーケティング予算は、5割以上の企業が「前年比で増加する」と答えていることがわかった。2023年9月6日の発表。
SNSの利用拡大とともにマーケティングチャネルも変化しているが、日本のマーケティングでも、動画コンテンツが重要であることがわかってきた。
「クオリティの高いコンテンツを作成すること」が課題
調査によると、日本のマーケターが選ぶ動画マーケティングのSNSツールで、最も選ばれているのは「YouTube」で、じつに78%の人が選んだ。次いで、「Instagram」が77%、「X(旧Twitter)」が72%で続いた。「Facebook」が67%、「TikTok」は55%と、5割を超えた。【図1参照】
キャプテラによると、海外ではSNSプラットフォームとして「Linkedin」が多く活用されているが、日本では動画マーケティングツールとして使っている企業は17%にとどまったという。
YouTubeに加えてInstagramを動画マーケティングのツールとして活用している企業が多いことがわかった。
次に、「マーケティング・広告で、動画コンテンツ活用の最大の利点(または課題)は何ですか?」に聞いたところ、59%の人が「ブランドの評判の向上」を利点にあげた。次いで、「消費者が情報を記憶しやすくなること」と答えた人が52%、「自社サイトへのトラフィック増加」が51%で続いた。
一方、「課題」としては、60%の人が「クオリティの高いコンテンツを作成すること」と答え、「投稿したコンテンツや広告の再生数を獲得すること」が50%、「コンスタントに投稿すること」と答えた人が46%で続いた。
こうしたことから、現場のマーケターは動画コンテンツをブランド価値の向上や情報の有効な伝達と考え、なかでも若年層への影響力が高いと感じていることがわかった。
キャプテラは、「戦略的な視点で動画マーケティングを展開する必要がある」と指摘している。
SNS動画マーケティングの重要性が高まるなか、その一方でAI(人工知能)によるコンテンツ制作が容易になり、作品数が増やせるようになってきたことで、その品質を保つ制作戦略が課題といえそうだ。