2024年卒の大学生・大学院生の就職活動は、いよいよゴールが近づいた。2023年10月2日(月曜)に、内定式を行なう企業が多い。猛烈な残暑と台風襲来による豪雨が交錯する悪条件のなか、学生たちの最後の奮闘が続く。
そんな状況で、リクルートの就職・採用関連の研究機関「就職みらい研究所」が2023年9月8日、2023年卒大学生・大学院生を対象にした就活状況を調べた「2023年9月1日時点 内定状況」を発表した。
9月1日時点で早くも内定率9割超、進路確定率8割超に達している。しかし、まだ内定が得られていない学生も約1割強。チャンスはこれからだ、あきらめるは早いぞ!
内定者の1割弱、「もっと自分に合う企業を!」と探し続ける
就職みらい研究所によると、9月1日時点の就職内定率(大学院生を除く)は91.5%で、昨年(2023年卒対象)の同じ時点の90.8%を上回り、過去最高水準となった【図表1】。理系が92.9%と、文系の90.8%をやや上回っている。また、男性(92.9%)のほうが女性(89.9%)よりやや高いことが目につく。
地域別では、中部(95.2%)がずば抜けて高く、次いで近畿(90.9%)、関東(90.8%)、その他地域(90.5%)と続く。
内定取得先の業種をみると、情報・通信業が27.5%と、ダントツに高いことが特徴だ【図表2】。日本政府が「ChatGPT」など生成AI(人工知能)の本格的な開発推進を決めたことに表れているように、ITスキルを持つ人材は世界的に奪い合いが激しく、優秀な学生は早くから海外から誘いの手が伸びるため、IT系企業の選考が早く進むためだ。その勢いが終盤まで続いている。
次いで、製造業(機械器具以外、16.7%)、機械器具製造業(14.3%)、サービス業(同)、金融・保険業(12.6%)、小売業(10.4%)と続く。製造業やサービス業関連は、コロナ禍から回復したことで、業績が上向いている企業が多いことを反映している【再び図表2】。
一方、すでに就職先の企業を決めた進路確定率も8割を超える84.5%と、就職活動がゴール間近に入ったことがうかがえる【図表3】。こちらも、昨年の同時点(82.2%)を上回り、過去最高レベルの水準だ。
しかし、まだまだ就職活動を続けている学生も少なくない。全体の就職活動実施率は12.4%。内定未得者の80.2%があきらめずに頑張っていることはもちろんのこと、内定取得者でも6.1%の人が「もっと自分に合う企業を!」と探し続けているのだ。
内定式、企業の8割が実施 今年は「対面」が増える
10月2日(月曜日)に内定式を行う企業が昨年(2023年卒)より増えた。就職が確定している学生に、内定式の予定を聞くと、8割近い76.5%の学生が「開催される予定」と答えた。就職確定先の従業員規模が大きいほど開催予定の割合が高くなる【図表4】。
昨年は開催予定が72.7%だったし、コロナ禍で再びオミクロン株の拡大が続いていたため、4分の1(24.5%)が「オンライン」だった。今年は「オンライン」は1割以下(8.9%)で、「対面」が8割(79.6%)に達する。
内定式で顔を合わせて同期の仲間と接すると、いよいよ社会人になるという実感を湧いていてくるに違いない。
リクルート就職みらい研究所の栗田貴祥所長は、まだ就職活動を頑張っている学生に対して、
「9月1日時点の就職活動実施率は12.4%です。採用活動を継続している企業も多く、企業からのスカウトを利用するなど、内定取得に向けて精一杯活動している学生の様子もうかがえます。
就職活動を進めている皆さんは、周囲と比べるのではなく自分のペースで就職活動を行い、納得感のある進路決定につなげていただきたいと思います」
と熱いエールを送っている。
なお、調査は2022年9月1日~5日、2023年卒業予定の大学生・大学院生で、リ人ルートが運営する就活支援サイト「リクナビ」のモニターに登録した大学生6255人、大学院生1373人の合計7628人を対象に実施した。(福田和郎)