続く「物言う株主」の突き上げ...衣料品事業撤退と店舗集約で黒字転換目指す
ヨーカ堂をめぐっても厳しい立場が続く。
セブン&アイの主要株主である「物言う株主」の米投資ファンド、バリューアクト・キャピタルは5月の株主総会に向け、不振のスーパー事業の分離を要求。これを経営陣が拒否したため、井阪氏の退任を含む経営刷新案を株主提案した。
株主総会で井阪氏の退任案は退けられたものの、セブン&アイに対する株主の突き上げは続いている(2023年6月6日付会社ウォッチ「『物言う株主』と対立のセブン&アイHD、社長再任の『会社提案』で可決 だが、批判票は約3割...両社の駆け引きまだ続く?」参照)。
井阪氏は経験のない百貨店、スーパー事業で大きく味噌をつけた格好だ。
「そごう・西武」の売却は混乱の中で何とか乗り切ったが、正念場となるのは、なんといってもヨーカ堂の再建だ。
セブン&アイは不振の衣料品事業から撤退したうえで、ヨーカ堂の店舗を首都圏に集約して黒字転換を目指す方針だ。
ただ、首都圏のスーパー事業では「いなげや」「ライフコーポレーション」といった強力なライバルが待ち構えている。
業界内では「ヨーカ堂の復活は容易ではない」という見方が大勢だ。
コンビニ事業を急成長させた井阪氏は、スーパー事業でも再びその手腕を発揮できるか。
結果が伴わなければ社長の地位はおろか、グループはさらに厳しいリストラを迫られかねない。(ジャーナリスト 済田経夫)