井坂社長、「稼ぎ頭」コンビニ事業一筋で活躍...スーパー・百貨店事業の知見が少ないとも
井坂氏は2016年、グループを24年にわたって率いてきた鈴木敏文・最高経営責任者(CEO)に代わってトップに就任した。
井坂氏の出身はコンビニ事業。セブン―イレブン・ジャパン社長などとして長年、グループの「稼ぎ頭」として活躍してきたが、この経験が足かせになっている。
流通業界に詳しいアナリストはこう解説する。
井阪氏は入社以来、一貫してコンビニ部門を歩いてきた。逆から見れば、スーパーや百貨店事業に対する知見が少ない。これが稚拙な対応を招き、多くの火種を残す結果を招いた。
象徴的なのが「そごう・西武」の売却をめぐる混乱だ。従業員や旗艦店である西武池袋本店がある東京都豊島区に十分な説明をしなかったため、売却計画に猛反発が起きた。
売却時期が2度にわたって延期されたうえ、ダメ押しとなったのが労組によるストライキの突入だ。
2023年9月1日の売却延期を求めた労組側と、これを拒否する経営側が対立。労組は売却直前の8月31日にストを構え、西武池袋本店が終日、臨時休業した。
大手百貨店でのストは1962年の阪神百貨店以来、61年ぶりだ。メディアにこぞって取り上げられ、セブン&アイは世論の厳しい批判にさらされた。