女性の躍進が目覚ましい。人事院が2023年8月16日に公表した国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)でも、女性の合格者数が過去最多となり、合格者に占める女性の比率も2年連続で4割を超え、過去最高となった。
一般職試験の申込者数...2016年度は3万5998人→2023年度は2万6319人と過去最少
一般職試験の申込者では、減少傾向が続いている。2016年度には3万5998人の申込者があったが、2023年度は前年度比1784人(6.3%)減少して2万6319人と過去最少となった。
このうち女性も、同様に減少傾向を辿っている。2016年度の1万2344人から2023年度は前年度比702人(6.0%)減少して1万910人になった。なお、申込者に占める女性の比率は、同0.2ポイント上昇し、41.5%となった。(グラフ1)
職種別では、行政が2万2316人で女性は43.6%の9730人、技術系が4003人で女性は29.5%の1180人となっている。
申込者数は減少したものの、合格者数は8269人で、前年度を113人(1.4%)上回って現在の試験体系になった2012年以降で最も多かった。このため、合格倍率は前年度の3.4倍から3.2倍に下がり、過去最低となった。
女性の合格者数は2年連続で3000人台となり、2023年度は前年度比65人(2.0%)増加して3336人と過去最多となり、合格者に占める女性の比率も前年度から0.2ポイント上昇して40.3%と2年連続で4割を超え、過去最高となった。(グラフ2)
職種別では、行政が6476人で女性は43.2%の2796人、技術系が1793人で女性は30.1%の540人となっている。
採用者数は2016年度の2931人から増加が続いており、2023年度の採用予定者数は5147人となっている。2023年度の採用予定者数の職種別では行政が3641人、技術系が1506人となっている。
女性の採用者数も増加が続いており、2023年度は採用者が確定していないため、明確ではないが、女性の比率は40%を超えるものと推測される。
春の総合職試験では女性の合格者683人...合格者に占める割合33.7% 女性の合格者数・割合ともに過去最高
一般職と同時に公表された専門職試験(7種類)の結果公表では、申込者数は前年度比452人(1.9%)減少して2万3831人で、女性は同35人(0.3%)減少して9823人だった。女性の比率は前年度から0.6ポイント減少して41.2%となった。
合格者は前年度比931人(15.8%)減少して4953人だったが、合格倍率は前年度より0.7ポイント上昇して4.8倍となった。女性は同507人(19.2%)減少して2140人となり、女性の比率は1.8ポイント低下して43.0%となっている。
採用予定者数は前年度比215人(10.4%)減少して1850人。
専門職7種類とは、皇宮警護官、法務省専門職員、財務専門官、国税専門官、食品衛生監視員、労働基準監督官、海上保安官。
一般職の申込者数が過去最少となった背景には、新型コロナウイルスの影響から企業活動が回復したことにより、民間企業の採用活動が活発化したことも一因となっている。また、恒常的に人手不足の状態が続いていることで、民間企業の採用条件が良くなっていることも影響している。
一方、合格者数の増加、採用者数の増加の背景には、省庁の退職者数が増加していることが反映されている。
こうした状況の中で、公務員試験に女性が積極的に取り組み、採用者数も増加している。国家公務員採用試験には、総合職(いわゆるキャリア官僚)と一般職の試験がある。春に行われた総合職試験でも、合格者数2027人のうち33.7%の683人が女性だった。合格者に占める女性の割合は3年連続で3割を超え、女性の合格者数・割合ともに過去最高だった。