リフォーム市場拡大、今後も緩やかな成長へ 新築住宅の価格高騰で...割安に購入、自分らしく作り替え 団塊ジュニア世代からの引き合いも

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   既存の住宅を改築したり改装したりして活用する「住宅リフォーム」の市場が伸びている。

   新型コロナウイルスの感染拡大を機に在宅時間が長くなり、自宅で快適に過ごすためにリフォームをするケースがここ数年、急速に増えた。

   そして、その流れはアフターコロナといわれる今なお続いているようだ。新築住宅の価格が高騰していることなどが影響しているとみられる。

  • 「住宅リフォーム」の市場が伸びている(写真はイメージ)
    「住宅リフォーム」の市場が伸びている(写真はイメージ)
  • 「住宅リフォーム」の市場が伸びている(写真はイメージ)

22年の住宅リフォーム市場の規模、前年比5.8%増...コロナ禍の19年より1割強も拡大

   調査会社の矢野経済研究所が2023年7月に発表した調査結果によれば、22年の住宅リフォーム市場の規模は、前年比5.8%増の約7兆3000億円と推計されるという。

   コロナ禍が起きる前の19年には約6兆5000億円で、それより1割強も拡大している。同社によれば、近年、深刻な被害をもたらす地震や水害が相次いでいることもあり、耐震やバリアフリーなど住宅の性能を高めるためのリフォームが活発化しているそうだ。

   23年は新型コロナの感染法上の位置づけが5類に移行した結果、旅行や外食など他の消費に充てる傾向が強まっており、リフォーム需要は一時的に減少すると見られる。だが同社は、需要は引き続き堅調に推移し、23年の市場規模は約7兆4000億円と微増が見込まれるとしている。

   リフォーム市場は今後も伸びていくのだろうか。

   野村総合研究所はリフォームの市場規模は緩やかに成長していくと見る。現在7兆円超で推移している市場は、30年代には8兆円を超え、2040年には約8兆7000億円と8兆円台後半に拡大すると予測している。

   新築住宅の着工戸数(22年度の実績値で約86万戸)は人口減少などから徐々に減少していくとみられている中、リフォーム市場の伸びが際立つ。

環境重視のトレンドにも合致「中古物件だからこその価値が見直されている」

   こうした市場拡大が見込まれる背景の一つには、新築住宅の価格高騰がある。

   不動産経済研究所が今春発表したデータによれば、22年の首都圏(1都3県)の新築マンションの平均価格は前年比0.4%増の6288万円に達し、バブル期(1990年に6123万円)を超えて過去最高を更新した。東京23区の平均は8000万円を超えており、多くの人にとって新築マンションは、もはや手の届かない「高根の花」だ。

   そこで、「中古住宅ならかろうじて手が届く」と、若い世代などが中古住宅を割安に購入してリフォームを施し、自分たちのライフスタイルに応じた住まいに作り替えるケースが増えている。

   住宅のリフォームは環境を重視するトレンドにも合致しており、「中古物件だからといって軽視されず、中古物件だからこその価値が見直されている」と話す関係者もいる。

   さらに、団塊ジュニア世代が住む住宅がそろそろリフォームを必要とする時期を迎えているとの指摘もある。

   リフォーム需要が増えそうな要因は数多く、一段と期待される成長市場になりそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)

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