23年1~6月の世界生産台数が「過去最高」のトヨタ 回復してきた生産に、冷水を浴びせる
トヨタでは22年3月、取引先の部品メーカーの小島プレス工業(愛知県豊田市)がハッカー集団からサイバー攻撃を受けて部品供給に支障が出たため、国内全14工場の稼働を停止した。身代金要求型コンピューターウイルス「ランサムウエア」の感染だった。
この時はトヨタの約1万3000台の生産に影響が出た(J-CAST 会社ウォッチ2022年3月11日付「トヨタの『一穴』を突いたサイバー攻撃 強さの象徴『かんばん方式』に盲点?」参照)。
また、23年7月には輸出拠点である名古屋港のコンテナシステムがサイバー攻撃を受けた際、トヨタも、部品供給の遅れにより愛知県内を中心に一部の生産に影響が出た。
トヨタは「トヨタ生産方式」「かんばん方式」という効率生産で名をはせた。必要なものを必要なだけ生産するため、部品などの在庫を極力減らすことが眼目だ。そのためには、部品を使用した分だけ発注するシステムと、それを支える物流が大前提になる。
名古屋港のトラブルは物流を直撃したが、今回と22年3月の小島プレスのトラブルは発注システムを傷つけた。
トヨタの2023年1~6月の世界生産台数は、前年同期比12%増の489万台と過去最高を更新した。このうち国内生産は164万台で、新型コロナウイルス禍での生産調整や半導体不足の緩和で29%増えた。
トヨタによると、全工場を1日停止することで、約1万3000台程度の影響が出るという。今回のトラブルについては、「1、2日程度の工場停止であれば、生産への大きな影響は少ない」(トヨタ関係者)としているが、せっかく回復してきた生産に冷水を浴びせるものだった。