「カウンセリングだけなのに即施術、合計200万円!」悪質美容医療サービスが急増中 4人に1人が男性の被害...泣かないための3つの方法は?

来店不要なのでコロナ禍でも安心!顧客満足度1位のサービスとは?

   「キレイになりたい!」。この願いは女性だけではなく、男性の夢にもなってきた。

   美容医療サービスのトラブルの急増しているため、国民生活センターが2023年8月30日、「増加する美容医療サービスのトラブル~不安をあおられたり、割引のあるモニター契約を勧められても慎重に判断を!」という調査を発表、警鐘を鳴らしている。

   20歳~30歳代では、被害者の4人に1人が男性だ。いったい、どんな手口なのか。

  • 美容注射を受ける女性(写真はイメージ)
    美容注射を受ける女性(写真はイメージ)
  • 美容注射を受ける女性(写真はイメージ)

「これからマスクを外す生活、今やらないと鼻の整形がわかる」

   国民生活センターによると、美容医療サービスをめぐるトラブルは、年々急増しており、2022年度は3709件に達した。5年前の2018年度の1980件から約2倍に増えたことになる【図表】。

(図表)5年で2倍、美容医療サービスの相談件数(国民生活センター作成)
(図表)5年で2倍、美容医療サービスの相談件数(国民生活センター作成)

   また、男性が被害にあう割合も高くなっており、2022年度では20歳代と30歳代に限ると、ともに被害者の約4人の1人が男性だった。男性の場合は、AGA(男性型脱毛症)の育毛治療や、脱毛治療のケースが多いようだ。

   相談事例をみると、最初はカウンセリングだけのために来院したのに、「今やったほうがいい」「今やらなければ、間に合わない」などと不安をあおり、その場での契約と施術を迫る勧誘が多い。

   また、割引のあるモニター契約を勧めて割安感を抱かせたうえ、実際には広告に載っている金額よりかなり高い契約をさせるケースが目立つ。

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美容施術を受ける男性(写真はイメージ)

   こんな事例が代表的だ。

【事例1】鼻の施術のカウンセリングだけのつもりが、「今やったほうがいい」と強く勧められ、その場で施術を受けたら鼻が腫れてしまった

   鼻先を尖らせる施術を検討しており、インターネットで見つけた美容外科の無料メッセージアプリを登録した。カウンセリングのみのつもりで予約して来院すると、個室に案内され、カウンセラーによるカウンセリングを受けた。「鼻の先端を尖らせたい。切らない手術を受けたい」と伝えると、「メッシュを入れると鼻筋が通る」と言われた。

   施術前と後の画像を見せられ、「モニター価格もある」「これからマスクを外す生活になったら、手術したことが周りにわかる。今やったほうがいい」と1時間半勧誘を受けた。「考える」と言ったが、「私も施術を受けた。大丈夫」などと強く勧められ、圧を感じた。

   その後医師から説明を受け、鼻尖形成と鼻先尖鋭、麻酔代などで合計約100万円の契約をした。クレジットカードで決済、そのまま施術を受けたが、鼻が腫れてしまった。元に戻してほしい。(2023年3月・20歳代女性)

手術で顔が晴れ上がったのに、医師は「トラブル担当者がいない」と黙殺

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その美容医療、本当に必要?(写真はイメージ)

【事例2】AGA治療クリニックで「今やらなければ間に合わない」と不安をあおられ、200万円のモニター契約をしてしまった

   「発毛治療が月々1500円~」「全額返金保証あり」というインターネット広告を見つけ、クリニックに行った。カウンセラーが頭皮や髪をチェックし、「AGAがもう少し進行すると、手遅れになり治療できない。今なら間に合う、来院してもらってよかった」と言われ、間に合うならやったほうがよいと思った。

   医師からも同じ話があり、注射と投薬のプランを勧められ、注射を12回打つと効果が得られると説明された。支払い方法を聞くと、「ローン60回払いの人が多い。モニターコースを申し込めば定価の半額となり、約200万円で契約できる」と言われた。

   月々の支払いは4万円で、当初の想定より高額になるが、「今やらなければ間に合わない」と言われて契約した。その日のうちに1回目の注射を打ち、内服薬を渡された。家に帰ってよく考えたら、不安をあおられて高額な契約をしてしまったと気が付いた。契約を取り消したい。(2023年2月・30歳代男性)

【事例3】リフトアップ手術の副作用は、顔が少し腫れる程度と言われたのに、食事ができないほど腫れあがった

   インターネット広告を見て、美顔器で肌を綺麗にする施術のカウンセリングを予約した。施術費用約3万円と記載されていた。ところが、カウンセリングを受けると、こめかみに糸を入れてリフトアップする施術を勧められた。

   「施術は1回で終わる。副作用は顔が少し腫れる程度で、マスクをすれば問題ない。モニターになれば価格が安くなり、約20万円だ」と説明されて、契約した。すぐに医師が来て施術が始まった。施術後、顔がひどく腫れているので、医師と看護師に苦情を言うと、「時間が遅く、トラブル対応の担当者がいないため帰宅するように」と言われた。

   翌日、「顔が腫れて、痛くて食事が取れない。施術代金を返金してほしい」と電話をすると、「血管を損傷したようで、治るのに1か月かかる」と言われた。しかし「支払いの取り消しも値引きもしない」と言われ、納得できない。(2023年2月・30歳代女性)

【事例4】脱毛治療の支払いの際、嘘の収入を書くよう指示され個別クレジットを申し込んだ。不審なので解約したい

   駅前で声をかけられ、3回無料の医療脱毛の勧誘を受けた。その場で施術日の予約を取り、数日後クリニックに行った。無料の両脇脱毛の施術を30分ほど受けた後、医療脱毛とエステ脱毛の違いなどを説明された。「通常60万円だが、本日契約すればモニター価格で約46万円になる」と言われ、承諾した。

   個別クレジットの2回払いを申し込む際に、アルバイトを始めたばかりなのに年収を110万円、貯金がないのに貯金額を50万円と記載するように言われた。そうしないと与信審査に通らないとのことで、クレジット会社から連絡があったら、申請したとおりに答えるよう指示された。お金がないため、契約を無償で解約したい。(2023年1月・20歳代女性)

美容目的の施術は緊急性ゼロ、「今すぐ受ける必要ありますか?」

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美容医療にご注意を(写真はイメージ)

   国民生活センターでは、こうアドバイスしている。

   (1)美容目的の施術は多くの場合、緊急性がない。「今すぐ施術を受ける必要がある」と不安をあおられたり、モニター契約による大幅な割引を提案されたりしても、その場で判断しないこと。いったん帰宅して、周囲に相談するなど、慎重に検討しよう。

   (2)美容医療サービスの自由診療では、医師は施術に伴う副作用や合併症のほか、施術費用、解約条件、保険診療での実施の可否、効果には個人差があることなどを丁寧に説明することが求められている。

   施術の効果やメリットだけでなく、リスク・副作用についても医師から説明を受け、しっかりと納得したうえで施術を受けるかどうか判断しよう。また、カウンセリングを受ける前に、自身でもインターネットなどで情報収集し、リスク・副作用を事前に確認しておく。

   (3)高額なクレジットを組んでまで必要な施術なのか、落ち着いてよく考える。クレジット契約を行う際は、年収額など正しい内容を申告する。断る場合は、「お金がない」ではなく、「契約しない」とはっきりと意思を伝えよう。

(福田和郎)

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(イラスト)増加する美容医療サービスの相談(国民生活センター作成)
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