なぜ、まちにはお金がないのか?
第2章では、自治体の収入と支出について説明している。
「自治体にお金がない」と言われることの本質は、「自由に使えるお金がない」ことだという。多くが事業を継続していくための経常的経費に使われてしまい、新たな政策を実行するための政策的経費が増やせないのだ。その理由を以下のように説明する。
・人件費を減らせない...法律上、給与水準の保障が定められている
・扶助費が減らせない...社会保障制度は国が設計しており、自治体が決めることができない
・地方債など借金返済にお金がかかる
・経常的経費を減らせない...事業が増え続け、その継続に多くの費用がかかる
新たな社会課題解決のために必要な政策的経費を増やすには、経常的経費の削減、つまり、今行っている事業の見直しが求められる。その手段として、「行政評価」が有効だという。どの行政サービスを縮小または廃止するか、職員の意識改革と事業目的の再確認が必要だ。
地方財政の危機は、直接的にはバブル崩壊後の税収減によるが、1990年代に国の方針に従った公共事業投資によるところも大きいと指摘している。地方債を抑制するため、世代間のバランスを考慮して、公共施設の整備を行うべきだと提言している。
扶助費の増大の背景には、高齢者の生活保護費受給が増えていることがある。高齢者が働く場の創設のほか、団塊世代による地域貢献に期待している。「老老介護」ならぬ「老老支援」だ。