2024年卒の大学生・大学院生の就職活動が終盤を迎えているが、彼らはどんな企業に入ることを希望しているのだろうか。
そんななか、就職情報サービスの文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所(東京都港区)が2023年9月6日、「2024入社希望者対象 就職活動[前半]就職ブランドランキング調査」を発表した。
約1万4000人の大学生・大学院生を対象に就職したい企業300社をランキングしたものだ。さまざまな業界の膨大な企業名から浮かび上がる、イマドキ就活生の胸のうちは?
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同研究所では、過去10年以上にわたり就職活動を行う学生に対して、年に3回「企業の就職ブランド」について調査している。大学3年生・大学院1年生の4月~9月(夏インターン時期)を「早期」(例年11月発表)、10月~3月中旬(秋冬インターン・採用広報解禁時期)を「前半」(同4月発表)、3月中旬~6月(説明会・選考期)を「後半」(同9月発表)と位置づけている。
3つのシーズンでの変化から就活生の意識を探るもので、今回は「後半」の調査だ。
「就職ブランド力」の算定を独特の方法で行っているのが特徴だ。対象者は1人5社まで投票できる。「就職」を重視する学生は「企業イメージ」(企業価値)よりも「仕事イメージ」(仕事価値)に重点を置くという仮説のもとで、ランキングを算出した。
就職者誘引度を、学生が「企業イメージ」と「仕事イメージ」のどちらを企業選択時に重視したかという回答によって算出する。
「企業イメージ」のみで投票した場合は、就職者誘引度5、「仕事イメージ」のみで投票した場合は95とし、その得票平均値を就職者誘引度としている。「総得票数×就職者誘引度=就職ブランド力」として、就職ブランド力を元にランキングを計算した。
調査の結果、2024年入社希望者対象の「就職ブランドランキング」トップP10は、1位伊藤忠商事、2位日本生命保険、3位大和証券グループ、4位博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ、5位東京海上日動火災保険、6位三菱商事、7位ソニー、8位丸紅、9位大日本印刷、10位損害保険ジャパンだった【図表1】。
伊藤忠商事は、2021年卒前半から4年連続で総合1位に輝いた。男子・女子・文系でも同じく4年連続1位となり、不動の人気を誇っている。伊藤忠商事に続き、三菱商事(6位)、丸紅(8位)、三井物産(16位)、住友商事(22位)と、5大商社がすべてベスト30位にランクインした【図表1】。
男子では5大商社すべてがベスト11位に入るありさまで、専門商社も含めると、トップ300社に商社が20社ランクインした。商社全体に注目が集まっているのは、円安傾向の影響もあり、各商社が空前の売上を計上、相次いで好決算を発表していることもあるようだ【図表2】【図表3】。
また、商社は幅広い業界との取引があり、若いうちからさまざま人脈やスキルを身につけることができるというイメージがあることも、絶大な商社人気の背景にあるとみられる。
こうした商社ブームを上回るほど人気となっているのが銀行・証券・保険業だ。トップ10に、日本生命保険(2位)、大和証券グループ(3位)、東京海上日動火災保険(5位)、そしてあのビックモーターとの関係が問題になっている損害保険ジャパン(10位)と、4社もランクインしている。
さらに、銀行もみずほファイナンシャルグループ(13位)、三井住友信託銀行(21位)、りそなグループ(32位)、あおぞら銀行(34位)、三井住友銀行(39位)と続き、銀行・証券・保険業界は上位100社までに2割近い18社も入るありさまで、その勢いは商社以上だ。【図表2】【図表3】
金融関係は10年ほど前に黄金期を迎えたが、その後、メガバンクの収益が減少、人員削減や店舗縮小が相次いでいる。それが今、再び活況を呈している理由は、今年前半から始まっている空前の日本株上昇ブームが背景にあるようだ。
商社や金融関係に続いて、学生の注目が集まるのは、IT・通信系企業だ。対話型AI(人工知能)の「Chat GPT」(チャットGPT)の登場によって、理系だけでなく文系の学生にも関心が高まっている。
Sky(19位)、NTTデータ(24位)、日鉄ソリューションズ(29位)、日立ソリューションズ(42位)、NTT東日本(46位)など、トップ300社に20社がランクインした【図表1】【図表2】。
Sky(46位)や日鉄ソリューションズ(50位)は、文系学生のトップ100にも入るほどだ。