ミドル・シニアITエンジニアの転職...5年前と比べて求人数2.7倍、転職決定者数も10.22倍に 45歳以上でも...DX推進で確かな経験、スキル求む

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   ミドル・シニアのIT転職事情とは?

   リクルート(東京都千代田区)は2023年8月31日、転職市場におけるミドル・シニア(45歳以上)のITエンジニアの転職動向についてのデータ分析結果を発表した。

   同社の転職支援サービス『リクルートエージェント』のデータを分析したところ、ミドル・シニア(45歳以上)のITエンジニア職の転職決定数は、2017年を1とした場合、2022年で10.22倍にまで拡大していた。

   その背景として、同社は「多様な業種でDXが進んだことによる、ITエンジニア職のニーズ増加」、「採用難易度の高いITエンジニア職を採用する方法の一つとして、企業がターゲットを拡大」、「45歳以上のITエンジニア職が持つスキルや経験の重要性が再認識されたこと」を指摘している。

   確かな経験やスキルを持つ求職者であれば、年齢を問わず採用したいと考える企業は少なくないようだ。

  • ミドル・シニアの転職市場での価値とは?(写真はイメージです)
    ミドル・シニアの転職市場での価値とは?(写真はイメージです)
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企業は「45歳以上だから」と先入観を持たず、「どんなキャリアを実現したいか」対話を

(リクルートの作成)
(リクルートの作成)

   リクルートによると、ITエンジニア職の求人件数は、2017年を1とした場合、2022年には2.70倍になった。ており、2022年の時点で、コロナ禍前の水準を超えて、伸びている。

(リクルートの作成)
(リクルートの作成)

   また、ミドル・シニアのITエンジニア職 転職決定者数の推移では、さきほどと同じく2017年を1とした場合、全職種は4.91倍であるのに対して、ITエンジニア職では10.22倍と、ITエンジニア職の増加の幅が大きかった。

   では、転職成功例は――。ミドル・シニアにおけるITエンジニアの「異業種・異職種転職」の事例として、リクルートは以下を挙げている。

【異業種転職】IT通信業界から金融機関の社内SEへの転職(50代前半)
・転職前と後:大手システムインテグレーター⇒金融機関の情報システム部門
・転職者の希望:企業の意思決定に関わる経験がしたい。発注する立場を経験したい。
・企業の希望:多様なプロジェクトを実行していくうちに、「炎上」案件も発生。安定したプロジェクト進行のために、IT部門の内製化への移行中だったため、豊富なプロジェクトマネジャー経験を持つ方を採用したかった。
【異業種異職種転職】公的機関からIT通信企業への転職(50代半ば)
・転職前と後:公的機関からITコンサル企業へ
・転職者の希望:業界全体を俯瞰して見ることができる業務に就きたい。課題解決に直に携わりたい。
・企業の希望:事業会社がIT部門を自社で準備するようになっている中、事業会社が考えている先の「新しいこと」を考えるためには、業界に深く精通した人を採用したい。お客さまの先回りをした提案ができるようなベテランを求めていた。

   こうした事例が示すように、ミドル・シニアとしての経験、知識を活かせる場はたくさんある。なお、ミドル・シニアのITエンジニアで入社後に活躍しやすい人の傾向は「自分の経験や考えにとらわれすぎず、新しい環境を受け入れる」「自ら進んで手を動かす」だという。

   今回の調査結果に、「リクルートエージェント」コンサルタントIT通信業界担当の丹野俊彦氏は、以下のコメントを寄せている。

「定年制度の見直しによって、45歳以上のITエンジニアもこれまでよりも長く働くことができます。経験が豊富なため、ITスキルだけでなく、人材育成力やトラブル解決力に対する期待もできます。
企業は『45歳以上だから』と先入観を持たず、『どんな働き方やキャリアを実現したいのか』といった対話を重ねることで、多様な経験を積んでいる45歳以上のエンジニアが働きやすい環境をつくっていくことが求められるでしょう」
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