三菱製紙株が一時5.5%下落、上値が重い展開に 八戸工場ボイラー事故、復旧まで2か月...業績の回復基調に悪材料か

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   三菱製紙の株価が2023年8月31日の東京株式市場で一時、前日終値比29円(5.5%)安の494円まで下落した。その後も上値の重い展開となっている。

   八戸工場(青森県八戸市)でボイラー事故(水蒸気爆発)が起きた、と8月30日に発表した。「お客様への製品供給に影響はない」と説明する一方で、「設備復旧まで2か月程度」と明らかにしており、回復基調にあった業績への影響を懸念する売りが広がった。

水蒸気爆発で、ボイラー部分が損壊...業績への影響「現時点では判明していない」

   事故の概要を確認しておこう。

   八戸工場は国内に6つある生産拠点の1つ。塗工印刷用紙や高級白板紙、PPC用紙など比較的付加価値の高い用紙を生産している。

   事故が起きたのは8月22日の午後4時16分ごろ。「3号回収ボイラー」と呼ぶ設備で水蒸気爆発が起き、このボイラーが部分損壊した。負傷者は出ておらず、工場外部の環境への影響も確認されていない。

   三菱製紙は業績への影響について「設備復旧に伴う損失、生産数量の減少、原燃料コストの悪化などが見込まれるが現時点では判明していない」としたうえで、「業績に重大な影響が見込まれる場合は速やかにお知らせする」と説明している。

   ちなみに製紙業界は「大手5社」という呼び方をすることがあり、その場合、売上高で1位から順に王子ホールディングス(HD)、日本製紙、大王製紙、北越コーポレーションと続き、三菱製紙は5位だ。

   三菱製紙の売上高は首位の王子HDのおよそ1割強。「製紙大手4社」という呼び方もされ、そこでは三菱製紙が外されている。また、出資を受け入れている王子HDの持分法適用関連会社でもある。

ペーパーレス化、原材料費高騰、円安...逆風続く製紙業界だが、24年3月期から各社とも業績改善の見込み

   製紙業界は近年、ペーパーレス化という抗いがたい潮流の中で、さらに原材料価格の高騰と円安という逆風に直面し、厳しい経営が続いた。ただ、2023年3月期から顧客への値上げが浸透し、2024年3月期には各社とも業績が改善する見込みだ。

   三菱製紙も2023年3月期の連結最終損益は5億円の赤字だったが、2024年3月期には40億円の黒字に転換する見通しを示している。

   そんな回復途上の三菱製紙に、思わぬ方向から悪材料が噴出した形だ。今後の株価の動向は、事故の業績への影響が大きくかかわってくることになりそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)

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