企業とリモートワーカーをつなぐキャスター...上場時の想定時価総額が「累計調達額」を大きく下回る怪【よくわかる新規上場株】

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コロナ禍をはさんで、リモートワークが珍しくなくなった?

   キャスターの従業員数は、2018年8月期末の35人から、107人、170人、218人と順調に増えており、2022年8月期末には286人、2023年7月31日現在で353人です。平均年間給与は、2023年7月末現在で397.1万円。平均年齢37.5歳、平均勤続年数3.5年です。

   キャスターの採用サイトには、幅広いキャリア求人が掲載されています。本社管理会計業務を担う経営企画室/管理会計担当の想定年収は500~600万円(固定残業代40時間分を含む)。勤務形態は在宅(フルリモート)。副業は副業許可申請を行い、規程の範囲内にて可能です。

   また、主力事業である「CASTER BIZ」などへの登録を含む、キャスターへの採用応募・登録者は月2,000件以上あり、世界22ヶ国、日本国内47都道府県に住む1000名以上(うち雇用社員は約600名)のリモートワーカーが在籍しているとのことです。

   キャスターの大株主は、インキュベイトファンド2号投資事業有限責任組合が21.92%、株式会社ブルーマンデイ(代表取締役の中川祥太氏の会社)が20.05%、グローバルファンドのWiL Fund II,L.Pが11.21%がトップ3。中川氏は個人名でも3.54%を所有しています。

   中川氏は1986年生まれ。2008年4月に日大を中退して下北沢で古書店を開店後、2011年1月にオプト入社。2012年4月にイー・ガーディアンに転じた後、2014年9月にキャスターを創業するという、一風変わった経歴の持ち主です。

   なお、キャスターの上場時の想定時価総額は12.4億円で、累計調達額の26億円を大きく下回ると一部で話題になっています。直近5期間で一度も黒字になっていないことなどが不安視された可能性がありますが、損失率が順調に改善されているのも事実です。

   また、2014年の創業時にはかなり珍しかったリモートワーカーが、想定外のコロナ禍で珍しくなくなった、という見方もあります。

   しかし、優秀な人材不足に悩む中小企業(キャスターの顧客企業の8割以上が従業員300人以下)は、自力でリモートワーカーを調達することが難しいのが現状といえます。このあたりがどう評価されるかによって、上場後の株価の動きが決まってくるのかもしれません。(こたつ経営研究所)

こたつ経営研究会
こたつ経営研究会
有価証券報告書や決算説明書などの公開情報を分析し、会社の内情に思いをめぐらすニューノーマルな引きこもり。昼間は在宅勤務のサラリーマンをしながらデイトレード、夜はネットゲームをしたりこたつ記事を書いたりしている。好きなピアニストはグレン・グールド。嫌いな言葉は「スクープは足で稼げ」。
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