加速するGX、求人動向は?...2016年比で5.87倍に 技術系も、企画系も...エネルギー業界以外でも、求められるGX人材

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社内外の横断プロジェクトを推進できる人材ニーズは高い

(リクルートの作成)
(リクルートの作成)

   つぎに、GX求人に関して、職種別ではどうか。職種別の求人数では、2022年度では「経営企画・事業企画・業務企画」が「12.65倍」にまで増えている。かたや、「化学エンジニア」は「7.69倍」、「品質管理・品質保証/認証・品質分析」が「6.88倍」、「機械エンジニア」が「6.82倍」となっている。

   エンジニアをはじめとする技術系の職種の求人が目立つ理由について、リクルートでは、

「FIT(固定価格買取)制度や電力自由化などの波を受け、従来の電力会社(旧一般電気事業者)だけでなく、石油・ガス、新電力、電機、IT業界などから再生可能エネルギー関連の求人が出始めた。特にプラントエンジニア、施工管理、プロジェクトマネジメントなどの技術系求人が多かった印象だ」

   としている。

   一方、技術系のポジションはもちろん、企画系(新規事業探索、調査・研究、研究テーマの企画推進、新しいビジネスモデルの創出、ビジネスモデル構築など)のポジションも増加しているという。リクルートは、以下のように見ている。

「2020年になると、さらに多くの業界のコーポレート側で新設されたサステナビリティ推進部などから、環境対応の人材ニーズが増えた。2020年10月の菅元首相のカーボンニュートラル宣言以降は、事業部側から具体的なグリーン戦略の求人、新規事業の求人が増加し続けている。具体的には太陽光発電、風力発電、水素・アンモニア、蓄電池関連などだ。従来のエネルギー業界はもちろん、エネルギー業界以外のさまざまな企業で増加している」
「(企画系では)政策渉外(ルールメーク)、さらにマーケティング、事業提携・M&Aなどの要素も含まれる。こういったポジションでは異業界からの転職も進んだ。2022年には『GX実行会議』も始まり、『GX』という言葉が定着、一般的になり企業の採用活動の場面でも多く出てくるようになった。GXのためのDX 関連の求人も増加している」

   今後の見通しについては、リクルートエージェントのキャリアコンサルタント、羽田野直美氏が以下のコメントを寄せている。

「カーボンニュートラルが先行していたが、2022年あたりからサーキュラーエコノミー(CE)関連求人も増加している。特にケミカルリサイクル関連の企画系、技術系求人が顕在化し始めており、この動きはまだ継続するだろう。ライフサイクルアセスメント(LCA)などの求人も増加している」
「いずれの動きも1社だけで取り組めず、解決もできない課題に向き合っているのが現状だ。業界内や業界をまたいだ大きな連携が必要となってきており、社内、社外の横断プロジェクトを推進できる人材ニーズは高まる一方であり、いかに人材を獲得できるかが喫緊の課題になっている」

   なお、「GX」が注目されたのはここ数年だが、リクルートによると、環境・エネルギー関連の求人が出始めたのは、2011年以降だという。背景には、震災後にエネルギー問題が起こったことから、各社が再生可能エネルギーへの対応を進めたこと。2016年には電力の小売全面自由化も開始された影響などがある。

   サステナビリティの観点でも、2015年のパリ協定や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の国連責任投資原則(PRI)への署名などの動きもあり、2016年以降に企業などでも徐々に環境問題への対応が進み始めた。とりわけ、国内でカーボンニュートラルへの関心が高まったのは、2020年10月、菅 義偉元首相の所信表明演説で「2050年までのネットゼロ」の目標が掲げられたことによる。

   この調査は2023年6月から8月にかけて、「リクルートエージェント」求人データをテキストマイニングしたものと『リクルートエージェント』求人データをもとに分析した。

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