営業管理職が悩みがちな「部下の育成」問題 事細かな指導は逆効果...やるべきは自ら手本を示すこと(大関暁夫)

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自ら手本を示して「育成」を 同行訪問を多くして、さまざまなパターンを学ばせる

   「育成」に関して求められることは、「営業管理者は、教えるのではなく手本を示すこと」です。管理者は部下の教育に関して、ややもすると、「こうしろ」「ああしろ」と事細かに指導したくなるものですが、これが実はあまり効果的ではないのです。

   知識であれば、「これを覚えなさい」と具体的な指示をすることで、身につけさせることが可能です。ところが、営業活動特に相手との折衝については、言葉で指導してもなかなかイメージがしにくく、担当者にとっては右から左になりやすいのです。

   営業活動に関する「育成」の基本は、指導者自ら手本を示すことです。

   人間は見て学ぶことで人の行動を自分のものにすることができる、という習性があります。小さい子供が親の行動を見て、見よう見まねで自分の行動として身につけつつ、成長していくのと同じです。

   ですから営業の初心者に対しては、担当者の営業活動を横で見てあれこれ言うのではなく、まずは「私が折衝をするところを、よく見て勉強しなさい」と指導するのが正しい「育成」指導のあり方なのです。

   ぜひ、管理者は営業初心者とは極力同行訪問を多くして、さまざまなパターンの営業折衝を目の前で見せて学ばせてください(初期段階における、営業初心者の優秀営業担当者への随行営業学習も有効です)。

   同じような考え方から、営業のロールプレイイングにも注意が必要です。

   ロールプレイイングは、一般的にはセールスの疑似演習として活用されるケースが多いと思います。もちろん、営業現場を想定して場慣れする目的でこれを活用することは、当然有効ではあります。しかしロールプレイイングにはもう一つ重要な活用法があります。

   それは、優秀営業担当者のセールストークを見て学ぶ、という機会にすることです。優秀営業担当者のセールスノウハウを営業チームで共有し、全担当者のレベルアップをはかる機会をつくることもまた、「育成」管理の領域での管理者の役割です。【つづく】(大関暁夫)

大関 暁夫(おおぜき・あけお)
株式会社スタジオ02 代表取締役 企業アナリスト
東北大学経済学部(企業戦略論専攻)卒。1984年、横浜銀行に入行。現場業務および現場指導のほか、出向による新聞記者経験を含めプレス、マーケティング畑を歴任。全国銀行協会出向時には対大蔵省(当時)、対自民党のフロントマンも務めた。中央林間支店長に従事した後、2006年に独立。銀行で培った都市銀行に打ち勝つ独自の営業理論を軸に、主に地域金融機関、上場企業、ベンチャー企業のマネジメント支援および現場指導を実践している。
メディアで数多くの執筆を担当。現在、J-CAST 会社ウォッチ、ITメディア、BLOGOS、AllAboutで、マネジメント記事を連載中。
1959年生まれ。
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