前回の水準で介入すると、それが「神田ライン」と見透かされる
1ドル=155円あたりが為替介入の目安になりそうだ、と指摘するのは第一生命経済研究所首席エコノミストの藤代宏一氏だ。
藤代氏はリポート「名目が映し出す『明』 実質が映し出す『暗』 為替介入など他2話」(9月6日付)のなかで、こう述べている。
「神田財務官は『こういった動きが続くようであれば、政府としてはあらゆる選択肢を排除せずに適切に対応していきたい』などとして語気を強めている。もっとも、市場関係者の間では前回の介入水準(1ドル=150円近辺)と同程度で再度介入が実施されるとの見方は少ない印象で、筆者(=藤代氏)もそう考えている。
仮に、同じような水準で為替介入に踏み切れば、特定の為替水準にこだわっているとの印象を与えかねない。それが『神田ライン』として認識されれば、投機的な動きを増幅してしまう可能性すらある。
円買い介入は(円売り介入とは逆で)原資となる外貨準備(主に米ドル建てで保有している預金や証券)に限りがあるため、無駄遣いは禁物である。また輸入物価が著しく上昇していた昨年と違い、現在は輸入物価が下落基調にあり、経常収支も黒字に回帰しているため、緊急性に乏しいように思われる」
そして、こう結んでいる。
「これらを加味すると、現在の為替水準は、介入までまだ距離があるように思える。次なる介入ラインは155近辺が一つの目安になる」
(福田和郎)