新NISAで始める投信道場
「週刊エコノミスト」(2023年9月12日号)の特集は、「新NISAで始める投信道場」。いよいよ来年1月から始まる新NISA(少額投資非課税制度)を使った投資術をまとめている。
びとうファイナンシャルサービス投資運用アドバイザーの尾藤峰男氏は、世界最高の投資家ウォーレン・バフェットの投資哲学を紹介している。
「人生は雪だるまのようなものだ。大事なことは、ぬれた雪と本当に長い坂を見つけることだ」
NISAで複利効果を最大限発揮させるためには、ずっと持ち続けることが大事で、その観点からは、売らないで済む、世界株や日本、先進国、新興国などの株式に分散投資するインデックス投信や上場投資信託(ETF)を勧めている。
三菱UFJ国際投信が設定・運用する低コストのインデックスファンド「eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)」シリーズの設定額が急増しているという。
今年2月にシリーズのうちの「米国株式(S&P500)」ファンドの純資産残高が1兆8000億円を超え、国内公募株式投信で残高1位になったほか、7月にはシリーズ全体で純資産残高が5兆円を超えた。
最大の特徴は、他社の類似ファンドが同シリーズのファンドの信託報酬を下回った場合は、その類似ファンドに合わせて、機動的に信託報酬を引き下げることだ。信託報酬の低さは受益者に対する大きな付加価値となっている。自社でファンドを組成しているため、低コストなのも強みだという。
ニッセイ基礎研究所主任研究員の前山裕亮氏も、三菱UFJ国際投信が独り勝ちしている状態を認め、ブランド化でその牙城は揺るがないと見ている。
◆アプリ型金融の衝撃
第2特集の「埋込型金融の衝撃」も興味深かった。
銀行、証券、保険といった金融機能は、多様なサービスの中に組み込まれる「部品」となり、店舗やATM(現金自動受払機)が不要の新しい金融サービスが始まるという。
たとえば、無料通信アプリのLINEに組み込まれている「LINEポケットマネー」は、LINEクレジットが提供する個人向け無担保ローンサービスで、すべでがLINEアプリで完結する。
わずか3年半で貸付実行額が1000億円を突破。22年12月には単月の新規契約者数が2万5000人を超え、業界の大手各社を抜いた。
いまやさまざまな事業会社がこうした「ネオバンク」を展開、日本航空やヤマダデンキ、高島屋、NTTドコモなどが銀行業に参入。JR東日本も来春の参入を表明している。
アプリ型金融が既存の銀行の存在価値を揺るがそうとしている。(渡辺淳悦)