投資ファンドが出資する企業の倒産が急増、過去10年で最多ペース コロナ禍のダメージで「小売業」目立つ

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投資ファンドの出資企業、「サービス業」の倒産が最多

   投資ファンドが出資する企業の法的整理を倒産態様別でみると、最も多いのは「破産」の23件で、全体の67.6%を占めた。「特別清算」(3件)と合わせると、清算型の法的整理は76.4%にのぼる。過去10年の累計と比べると、「破産」の割合が高くなっていることがわかる。【図3参照】

   一方で、倒産全体における「清算型」の割合は2023年上半期で96.9%で、投資ファンドの出資企業の倒産(76.4%)はこれを大きく下回っており、事業譲渡などのスキームが可能な「再生型」が多いことがわかった。

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図3 「再生型」は少なくない(帝国データバンク調べ)

   また、業種別でみると、コロナ禍での業績悪化が顕著な「小売業(飲食店を含む)」が目立った。最も多いのは「サービス業」の11件で、全体の32.4%を占めた。次いで「小売業」と「卸売業」がともに6件、全体の17.6%で並んだ。「製造業」は5件で14.7%だった。【図4参照】

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図4 業種別でみると、コロナ禍で大きな影響を受けた「小売業(飲食店を含む)」が目立った(帝国データバンク調べ)

   ただ、コロナ禍でダメージを受けた事業者でも、飲食店グループのOUNH(旧TBI ホールディングス)のように、ファンドからファンドへ事業譲渡されたのちに、金融債務だけ残した旧会社を法的整理するケースもある。

   法的整理を利用した債務カットを前提とすることで、アフターコロナでの事業価値をファンドが評価し、事業が存続するという事例だ。

   過去10年の投資ファンドの出資企業の倒産を業種別にみると、最も多いのは「サービス業」の89件で全体の34.5%にのぼった。次いで、「製造業」の51件で全体の19.8%、「卸売業」の49件、19.0%と続いた。倒産全体では2割前後を占める「建設業」は、11件で全体の4.3%にとどまった。

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投資ファンドが出資した企業の主な倒産事例(帝国データバンク調べ)

   なお、調査は2023年および過去10年間(2014年以降)における、投資ファンドが出資する企業の倒産動向について集計・分析した。

   投資ファンドの出資企業の倒産は、企業倒産(法的整理)のうち、倒産時点もしくはそれ以前のおおむね5年間で、投資ファンドなどの出資が確認できたものを取り上げた。

   また、中核企業や持ち株会社に出資し、その企業も含めグループで複数が倒産した場合など、実質的に投資ファンドが出資したと判断できるものは、直接出資がなくてもカウントしている。

   このテーマでの調査は初めて。

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