ロケットに使う火薬の安全性を確認する実験では、あえて爆発させることもあった!
――お話は変わりますが、インタビューの序盤に出てきた「H2ロケット」の開発についてお教えください。
松永氏 ロケットの燃料は専門的には「ロケット推進薬」と言います。私は推進薬の開発ではなく安全評価、すなわち、「推進薬はどんな条件で爆発してしまうのか」といった点についての研究を行っていました。
それから、ロケットが種子島宇宙センターから発射後すぐに墜落してしまった場合の被害のシミュレーションも行っていました。国産ロケット「H2」は1994年に初打ち上げ、そして初成功を迎えましたが、それに向けて1990年ごろから検証を繰り返してきたのです。
――どんな実験だったのでしょうか。
松永氏 墜落対策の実験は北海道の苫小牧の整備中の工業団地で行いました。方法はダミーを打ち上げて落下させるのではなく、横向きに発射して壁にぶつけるというかたちです。実験は実際のスケールの約3分の1で行いました。
――実に大がかりですね!
松永氏 実験は無事に終了しましたが、周辺の住民からは「爆発の大音響でニワトリが大量死した」という苦情が来てしまいました。結局、因果関係は不明でしたが......。
――関連は不明とのことですが、すごいエピソードですね! ところで、H2の固体燃料の成分はどんなものなのでしょうか。
松永氏 アルミ粉末とポリブタジエン、それに過塩素酸カリウムです。