健康意識は、コロナ禍から低下? 電通のウェルネス1万人調査

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   「ウェルビーイング」(精神的・身体的・社会的に健康で幸福であること)な生活やヘルスケア領域について調査している電通(東京都港区)の専門組織「電通ヘルスケアチーム」によると、「常に健康を意識した生活をしている」人は、2023年に33.9%となり、コロナ禍の2021年(37.1%)をピークに減少していることがわかった。

   全国20~60代の男女に、「ウェルネス1万人調査」を実施。2023年8月30日に発表した。

「ウェルビーイング」の認知度アップ! 前年度比4.6ポイント増

   この調査は2007年から、生活者の健康意識や行動からヘルスケアインサイトを把握し、その変化について経年比較している。また、新型コロナウイルスの感染拡大による影響も分析。同時に、ヘルスケア領域における最新動向の実態や市場ニーズについても生活者視点で調査している。

   まず、全国の男女1万人に、「ウェルビーイング」(精神的・身体的・社会的に健康で幸福であること)という言葉について聞いたところ、「内容まで理解している」と答えた人が5.5%、「見聞きしたことがある程度 (内容はわからない)」が19.9%で、合わせて25.4%の人が「聞いたことがある」と答えた。「知らない/聞いたことがない」という人は74.6%だった。

   「ウェルビーイング」の認知度は、2022年調査の20.8%から4.6ポイント増えた。【図1参照】

図1 ウェルビーイングを「知っている」人は25.4%だった(電通ヘルスケアチーム調べ)
図1 ウェルビーイングを「知っている」人は25.4%だった(電通ヘルスケアチーム調べ)

   次に、「生活者が現在の自分の『幸せ度』を100点満点で採点したら、何点になるか」聞いたところ、平均点数は男女ともに60代が最も高いことがわかった。60代男性で62.4点、60代女性で64.7点だった。

   全体の平均は56.8点。ただ、これを上回ったのは、男性は60代だけ。女性は60代と、20代(57.2点)と50代(58.2点)と、女性のほうが「幸せ度」が高いことがわかった【図2参照】

図2 自分の「幸せ度」を100点満点で採点したら?(電通ヘルスケアチーム調べ)
図2 自分の「幸せ度」を100点満点で採点したら?(電通ヘルスケアチーム調べ)

健康のためのお金、1か月あたり商品に1331円、サービスは896円

   調査では、常に健康を意識した生活をしているかどうかについて、「あなたにどの程度あてはまりますか」と聞いたところ、「常に健康を意識した生活をしている」と答えた人は、コロナ禍の2021年(37.1%)をピークに減少し、23年は33.9%にとどまった。

   「常に健康を意識した生活をしているか」との問いに、「非常にあてはまる」と答えた人は2023年に4.8%、「ややあてはまる」が29.1%だった。

   これを経年で比べると、コロナ禍の2021年は37.1%、昨年は35.9%だった。【図3参照】

図3 「常に健康を意識した生活をしている」人は年々減っている......(電通ヘルスケアチーム調べ)
図3 「常に健康を意識した生活をしている」人は年々減っている......(電通ヘルスケアチーム調べ)

   さらに、「あなたは健康のための商品(サプリメントや健康食品、ドリンクなど)やサービス(フィットネスやマッサージなど)に、1か月あたりどのくらいかけていますか。最近1年で1か月あたりにかけている平均の金額を教えてください」と聞いたところ、「健康のための商品」にかけている金額は、2022年の1445円から1331円に減少。「健康のためのサービス」にかけている金額は、1045円から896円に減ったことがわかった。

   健康のためにかけている金額は、商品・サービスともに、過去5年間で最も少額になった。「お金」の面からも、「健康生活」への意識が後退していることがうかがえる。【図4参照】

図4 健康のためのお金、商品・サービスともに過去5年間で最少(電通ヘルスケアチーム調べ)
図4 健康のためのお金、商品・サービスともに過去5年間で最少(電通ヘルスケアチーム調べ)

「心身ともに健康志向層」健康偏差値が高めの優等生!

   また、生活者を健康意識/行動によるクラスター分析し、「デジタルヘルスケア層」「心身ともに健康志向層」「クラシック健康生活層」「メンタル不安層」「気持ちくらいは前向き層」「健康低関心層」「何もかも無関心層」の7つのタイプに分類。「幸せ度」を調べたところ、「幸せ度」が高いタイプは、「クラシック健康生活層」(70.1点)、「デジタルヘルスケア層」(63.8点)、「心身ともに健康志向層」(63.2点)が当てはまった。

   「健康のための商品」にかけている金額は、「心身ともに健康志向層」が2516円で最も高く、最も低い「何もかも無関心層」(634円)の約4倍にのぼった。【図5参照】

   ちなみに、「何もかも無関心層」の「幸せ度」は47.6点。最も低い「メンタル不安層」の39.9点、「健康低関心層」の47.0点に次いで、3番目に低かった。

図5 生活者の健康意識/行動7タイプの特徴(電通ヘルスケアチーム調べ)
図5 生活者の健康意識/行動7タイプの特徴(電通ヘルスケアチーム調べ)

   「あなたが『食事内容をスマートフォンで記録/管理する』『睡眠の状態をデバイスやスマートフォンで測定/記録する』という行動を続けることができている理由やモチベーション(動機)は何ですか」との問いには、「食事内容の記録/管理」(n=341)については、「自分の身体の健康のため」と答えた人が52.8%と最も高く、次いで「自分の心の健康、平穏のため」が25.8%、「自分の美容のため」の22.3%が続いた。

   同様に、「睡眠の測定/記録」(n=502)も「自分の身体の健康のため」が55.4%で最多。次いで、「自分の心の健康、平穏のため」が28.9%だった。第3位は「病気にならないため(健診などで指摘されているから)」と答えた人が18.1%いた。【図6参照】

※n数は、「食事内容をスマホで記録/管理する」「睡眠の状態をデバイスやスマホで測定/記録する」に、それぞれ「必ず/よく実施している」と回答した人。

図6 食事内容の管理も睡眠の記録も「自分の身体の健康のため」(電通ヘルスケアチーム調べ)
図6 食事内容の管理も睡眠の記録も「自分の身体の健康のため」(電通ヘルスケアチーム調べ)

   なお、調査は全国の20~60代の男女を対象に、生活者の健康意識と行動からヘルスケアの現状を把握し、消費者視点で見た市場ニーズやトレンドを分析することを目的にインターネットで実施した。調査期間は、2023年6月9日~12日。サンプル数は、1万人。

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