青山学院大が、立教大を逆転
青山学院大に対するイメージが近年良くなっているという。ミッション系のライバル、立教大とのダブル合格で青山学院大を選ぶ人が増えている。大学全体で2018年は39%だったが、2021年には64%とひっくり返ってしまった。
2013年に文系7学部(法、経済、経営、国際政治経済、文、教育人間科学、総合文化政策)が相模原から渋谷に戻って10年経ち、定着。茨城、埼玉、千葉の受験生をより多く集めた。さらに、社会情報、地球社会共生、コミュニティ人間科学といった新しい学部を作り、時代を敏感に受け止めた教育を行ってきた、と評価している。
立教大は2023年、55年ぶりに箱根駅伝に出場した。かつて大学をあげてスポーツに力を入れていたが、1970年代前半にスポーツ推薦制度が廃止され、各競技で力を落としていた。2008年にアスリート選抜入試がスタート、野球、ラグビーなどでも実績のある高校生を集めるようになった。
2023年4月には、スポーツウェルネス学部を開設。スポーツ系学部は早稲田、法政に次ぐもので、立教は多くの競技で強豪校の仲間入りを果たすかもしれない。
昨今、7校のなかで最もハデな動きを見せたのが、中央大である。2023年から法学部を茗荷谷キャンパス(東京都文京区)に移転した。多摩キャンパスに移ってから「中央の法」人気に翳りが見え、司法試験合格者数が1980年代以降、早稲田大、慶応義塾大に抜かれてしまい、法学部関係者が危機感を抱いていたという。
都心回帰で、「中央の法」ブランドはある程度、復活すると見られる。さらに2019年に国際経営学部、国際情報学部を新設、グローバル計学部で勝負に出たという。
法政大は、「法政大学SDGS+2030アジェンダ」を掲げ、SDGsを実現させるテーマを学べる科目を履修できる。SDGsと親和性が高い、人間環境学部もあり、SDGsに取り組みたい高校生にすれば、法政大はその受け皿になりそうだという。
このほか、入試の最新情報、学生気質、学者、スター教授たち、学生の就職先とキャンパス情報を網羅している。
各大学の就職先ランキングの上位を挙げると、以下のようになる。
早稲田大(エヌ・ティ・ティ・データ、国家公務員一般職、東京海上日動火災保険、楽天グループ)、慶応義塾大(慶応義塾、アクセンチュア、Pwcコンサルティング合同会社)、明治大(国家公務員一般職、東京都特別区、楽天グループ)、青山学院大(楽天グループ、日本生命保険相互会社、日本電気、三井住友信託銀行)、立教大(東京都特別区、国家公務員一般職、アクセンチュア)、中央大(国税庁、日本電気、りそなホールディングス)、法政大(ドコモグループ、楽天グループ、日本電気)
人気が低迷する国家公務員総合職(キャリア)よりも一般職(ノンキャリア)、外資系コンサルが多いあたりに、最近の学生の傾向が表れているようだ。(渡辺淳悦)
「早慶MARCH大激変」
小林哲夫著
朝日新書
1089円(税込)