ITエンジニア・クリエイター専門エージェント を運営するレバテック(東京都渋谷区)は2023年8月30日に「ITエンジニア・クリエイター正社員転職・フリーランス市場動向 2023年6月」を発表した。
それによると、2023年6月の正社員転職求人倍率は12.9倍。求人数は前年同月比138%と増加傾向だという。また、フリーランス案件のうち、最も伸びが著しかったものは「コンサル」で、前年同月比728%。なお、フリーランス案件希望者数も前年同月比で7.6倍と急増しているという。
ITエンジニア・クリエイターの転職市場はますます活発化
同社では、「求人倍率」の定義として、算出式を「求人倍率=求人数÷転職希望者数」としている。「求人数」はレバテックのエージェントサービスで募集中の中途採用求人数で、「転職希望者数」はレバテックのエージェントサービスで正社員転職を希望している利用者数とした。
同社によると、まず、2023年6月の「正社員転職求人倍率」は、12.9倍だった。求人数も、前年同月比138%と増加傾向にあり、求人倍率は依然として高い水準で推移しているという。「政府が『新しい資本主義』を掲げ、構造的な賃上げの実現と労働移動の円滑化を推し進める中、ITエンジニア・クリエイターの転職市場はますます活発化しているといえます」と同社はみる。
スキル・職種別の求人倍率では、最も高いのは「PM(プロジェクトマネージャー)」で32.1倍。次いで、「java(toBシステム開発)」が20.6倍、「クラウド」が19.0倍だった。
一方、フリーランスの状況はどうか。フリーランス案件希望者数・案件倍率のグラフで確認しよう。なお、同社では「案件倍率」の定義として、算出式を「案件倍率=案件数÷業務委託案件希望者数」とし、「案件数」はレバテックのエージェントサービスで募集中の業務委託案件数、「案件希望者数」はレバテックのエージェントサービスで業務委託案件を探しているフリーランスの利用者数とした。
それによると、2023年6月の「案件倍率」は1.4倍。フリーランス案件希望者としては、前年同月比で155%、2年前の2021年6月と比較した場合では、約3.3倍に成長しているという。
スキル・職種別の案件倍率では突出したものはないが、前月比0.3ポイント高い「python(パイソン)」、同じく前月比0.3ポイント高い「C#/C#.NET」、前年同月比で0.2ポイント高い「動画/オーサリング」は注目度が高いといえそうだ。
とくに、AI開発やディープラーニング分野の分野で欠かせない「Python(パイソン)」は、同社によると、転職希望者は前年同月比2倍、案件希望者数は同3.9倍の増加となり、人気を見せている。同社は、次のように指摘している。
「レバテックが本年実施した調査では、『エンジニアを志望する学生が仕事で使用したい言語』『社会人エンジニアが今後習得したい言語』共にPythonが1位となっています。Pythonの求人・案件獲得競争は今後も激化すると言えるでしょう」
最も急増したフリーランス案件は「コンサル」、前年同月比728%
また、フリーランス案件のうち、最も伸びが著しかったものは「コンサル」。同社によると、前年同月比では728%。フリーランス案件希望者数も、前年同月比で7.6倍と急増するなど、「案件倍率」は1.3倍だという。とりわけ特長的なのは、コンサルの正社員求人倍率は52倍で、転職希望者との差が大きい結果になっている。
レバテックは「企業のDXを推進するITコンサルタントの需要が高まる中、フリーランスとして企業に対しコンサルティングを行う人材も増えていると考えられます」とみている。
なお、今回の調査を受けて、「執行役員からの一言」として、以下のコメントを寄せている。
「業務のデジタル化やDX推進の中核を担う『即戦力人材の調達』を課題として挙げる企業においては、フリーランスや副業人材などの活用を検討していく必要があるといえます。また、IT人材不足に悩む企業では、従業員への賃上げや、社内でのリスキリングを前提とした採用要件の見直し・ポテンシャル人材の採用を視野に入れていく必要があるのではないでしょうか」