小・中・高生の生徒数は「過去最少」更新 それなのに、大学の在学者数は「過去最多」のなぜ(鷲尾香一)

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   2023年5月1日現在の小・中・高等学校の生徒数が過去最少となる中、大学の在学者数が過去最多となったことが、文部科学省が2023年8月23日に公表した「令和5年度学校基本調査(速報値)」で明らかになった。

学校数も減少...小学校182校減、中学校68校減、高校33校減 教員数では小・中は増、高校は減

   少子化の進行により、生徒数は小学校で前年度比10万1802人減少して604万9503人に、中学校で同2万7673人減少して317万7547人となり、過去最少を更新した。高等学校でも同3万8414人減少して291万8486人となっている。

   生徒数の減少を受け、学校数も減少を続けている。小学校は前年度比182校減少して1万8979校に、中学校は同68校減少して9944校に、高等学校は33校減少して4791校となった。

   一方、教員数は学校数、生徒数の減少に反比例し、小学校では前年度比715人増加して42万4155人に、中学校では同25人増加して24万7373人となっている。ただ、高等学校では同1483人減少して22万3251人と高等学校だけが教員数も減少している。(表1)

   小・中・高等学校の教員に占める女性の比率は、小学校が前年度比0.2%増して62.6%、中学校が同0.3%増加して44.6%、高等学校が同0.3%増加して33.4%となっており、女性教員が着実に増加している。

大学の在学者1万5027人増 背景に、進学率の上昇...とくに女子学生は1万418人増

   小・中・高等学校が少子化の影響により、学校数、生徒数の減少が続いているのに対して、まったく様相が違うのが大学、大学院の高等教育機関だ。

   大学全体の在学者数は、前年度比を1万5027人増加して294万5807人と過去最多を更新している。このうち学部に在籍する学生は同794人増加して263万3010人と過去最多を更新、大学院に在籍する学生も同4229人増加して26万6011人となった。

   学生数の増加を背景に、学校数も大学で前年度比3校増加して810校に、学部で同1学部増加して783学部に、大学院も同4院増加して661院となっている。

   小・中・高等学校が少子化のあおりを受けて、学校数、生徒数ともに減少を続けているのに対して、大学の学校数、在学者数が増加しているのは、進学率の上昇が続いていることが背景にある。

   特に、女子の大学進学が大学の在学者数を押し上げている。大学在学者数のうち女子学生数は前年度比1万418人増加して131万4393人となり、女子の比率は44.6%に上昇した。このうち学部在籍の女子学生は同3376人増加して120万4368人となり過去最多を更新している。女子学生の比率は45.7%となり、過去最高を更新した。

   大学院在籍の女子学生は同1648人増加して8万7228人となり、女子学生の比率は32.8%となっている。すでに、学部学生の約半数、大学院生の3分の1は女子学生となっている。(表2)

   小・中・高等学校での女性教員の増加と同様に、大学でも女性教員が増加している。大学の教員数は前年度比1233人増加して19万1879人となったが、このうち女性教員は同1292人増加して5万2272人と過去最多を更新し、3.5人に1人は女性教員となっている。

4年生大学への進学増加の影響から、短大は厳しく...学生は8027人減、学校は9学校減

   女子の4年制大学への進学が増加している影響を受けているのが、短期大学だ。短期大学では学校数、在学者数ともに減少している。

   短期大学の在学者数は前年度比8027人減少して8万6686人となった。学校数も同9学校減少して、300校となった。(再び表2)

   大学が進学率の上昇を背景に、特に女子学生の増加により、在学生数を増加させている。だが、小・中・高等学校の学生数の減少が示すように、少子化の影響は深刻で、進学率が上昇しても、進学者の絶対数が減少に転じる時期が早晩訪れることになり、大学の在学者数も減少に転じることになるとの見方が強い。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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