苦悩の福島地元紙...放出に理解示すも、見切り発車的開始に懸念、万全の対策求める
全国の地方紙も社説、論説などで取り上げているが、ほぼ放出を批判する論調がほとんどだ。そのなかで、福島の地元紙をみておこう。
福島民報の「論説」(8月24日)、福島民友の社説(8月23日、24日)は、「放出は今後の廃炉作業を安全かつ効率的に進めるのに必要な対策だ」(8月23日民友)など、復興のためには廃炉が必要、廃炉を進めるために海洋放出が必要という論理に、基本的に理解を示す。
ただし、「国民の理解も十分に深まっているとは言い難い。漁業をはじめ観光など幅広い分野への影響を懸念する声が上がるのは当然だ」(民友)と、見切り発車的な放出への懸念も示し、風評被害防止、対策の徹底などを強く求める。
両紙の論調には、「漁業者への支援を、放出開始にこぎ着けるための甘言に終わらせることがあってはならない」(民友24日)、「被災地への苦痛や負担の上積みは許されない」(民報)など、地元の、政府・東電への不信感が込められている。
特に「民友」は読売新聞系列で、読売の書きぶりと比べても、微妙な言い回しであることは、福島県民の苦渋の思いを反映しているのだろう。(ジャーナリスト 岸井雄作)