「原発推進」の日経、読売、産経も「丁寧に説明」「万全の風評被害対策」など要望
こうした問題点を踏まえて、新聞の社説をみてみよう。原発推進・脱原発という基本スタンスの違いで論調が割れるが、その違いを超えて、政府の重い責任を指摘する点では共通するのが、今回の特徴だ。
日経新聞(8月23日)は「科学的な安全性や必要性から、海洋放出は妥当だと国際的に支持されていた。漁業者の反対はあるが、福島の復興や廃炉を進めるには政治決断が必要だった。岸田文雄首相の判断を評価したい」と明快に支持。読売新聞(8月23日)も「放出に向けた環境はすでに整っていた。放出を引き延ばす意味は薄く、迅速に対応したのは適切である」と評価する。
同じ原発推進の産経新聞(8月23日)は、珍しく「評価」「妥当」といった単語は使わず、「科学的な根拠がない主張や虚偽の情報には、風評被害を防ぐ観点からも毅然(きぜん)と対処してほしい」と、「中国嫌い」の産経らしく語気を強めつつも、「岸田首相は国内外に向けて安全性を丁寧に説明し、万全の風評被害対策を講じなければならない」などと、政府に説明や対策の着実な実行を求めることに重点を置いた書きぶりだ。
日経、読売も、風評被害を起こさないように、情報発信に努めることなどを政府に強く求めている。