処理水放出、「新聞社説」各紙の受け止め方は? 今後の「廃炉」への道筋が定まらず、不信感ぬぐえず... 求められる風評被害防止、丁寧な情報発信

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専門家の委員会は「無害と判断」したが... 政府の「説明する」という「上から目線」に不信も

   そもそも、政府が「安全」というのも、あくまで但し書き付きのはずだが、「安全は証明されているのだから、反対するのは非科学的」と言わんばかりに事を進めているようにみえる。

   たしかに政府は専門家の委員会を設け、トリチウムの安全性を議論し、最終的に2020年2月、生体への影響はないと結論づけ、国際原子力機関(IAEA)も同様の考えだ。

   ただし、科学的立場からの異論もあるし、なにより、農産物の残留農薬などと同様、「無害」ということではなく、権威ある動物実験や疫学研究などから「無害と判断した」ということだ。

   中国が科学的な議論を拒んで、外交カードとして「核廃水」などと批判することには、文字通り科学的なデータで議論していくのは当然として、国内に向けて丁寧な情報発信が必要。だが、この点で、安全であると「説明する」という政府の姿勢も、不信増幅の一因といわれる。

   処理水放出を進めてきた更田豊志・前原子力規制委員長(現・規制委参事)さえ、「『説明』という言葉には『十分に説明すれば相手は理解するはず』との過信や『理解していない人に理解を与える』という、なんとなく上から目線のニュアンスがあります」と苦言を呈しているほどだ(毎日新聞23年8月31日朝刊)。

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