「顔のひげだけのはずが...」「無料体験のつもりが...トホホホ」
近年は男性も通う人が増えている脱毛エステサロンで、トンデモ料金を支払わされるトラブルが増えている。国民生活センターは2023年8月29日、「10代・20代、トラブル増加中! 男性の脱毛エステ」という報告書を発表。警鐘を鳴らしている。
女性の被害額平均34万円より、男性被害額52万円が高い理由
国民生活センターによると、脱毛エステサロンをめぐるトラブル相談は毎年4000件近く寄せられており、2020年頃から男性の相談が急増しているのが特徴だ。同センターが2022年7月に行った調査によると、相談者が10~20歳代の若者の場合、2021年には全体の約2割(18.6%)が男性だった。
近年は、女性だけでなく、男性でもひげや脚、そして下半身のデリケートゾーンの脱毛を希望する人が多くなったこともあるようだ。しかも、被害相談額の平均は女性が約34万円であるのに対し、男性は約52万円と高額になっている。これは、ひげ脱毛の経費が加わるためとみられる。
こんな事例が代表的だ。
【事例1】無料カウンセリングのつもりが、断れる雰囲気がないまま高額な契約を...
SNS広告を見て、無料カウンセリングだけのつもりで脱毛サロンに行った。すぐに個室に案内され、コース契約の説明が始まった。断れる雰囲気ではなく、総額は高額ではあったが、1か月1万円なら支払えない金額ではないと思った。
また、学生だが、長期休みの間はたくさんアルバイトができるので大丈夫と説得され、約40万円のコースを4年払いのローンを組んで契約してしまった。(2023年1月・10歳代男性・学生)
【事例2】広告の月額1000円を希望したのに、60万円の高額プランを契約させられた
SNSでひげ脱毛が月額約1000円、全身脱毛が約3000円とうたう広告が表示され、エステ事業者のサイトで予約をした。エステサロンに行くと、ひげや脱毛をしたい部分を選べる約50万円のコースを勧められた。高額だったため、広告掲載のひげ脱毛を受けたいと申し出ると、「納得のいく脱毛をする場合は、これぐらいの料金がかかる」と言われ、契約した。
クレジットの分割払いは36回払いで、分割手数料が付き総額約60万円だった。大学生のため支払っていくことが難しい。クーリング・オフしたい。(2022年4月・20歳代男性・学生)
強引に契約を迫られても、きっぱり断ろう!
国民生活センターではこうアドバイスしている。
(1)「お試し施術」「月額〇〇〇円」など、気軽さや安さを強調した広告をうのみにしない。低価格の広告を見て店舗に出向いたところ高額なコースを勧誘されたというケースが目立つ。
(2)強引に契約を迫られてもきっぱり断る。「割引は今日だけ」などとせかされるケースが見受けられる。金額やコース内容に不安がある場合は、安易に契約しないこと。
(3)契約は慎重に検討する。分割払い(個別クレジット)の場合は、手数料を含めた金額や分割払いの期間を必ず確認する。また、長期間にわたる契約では、脱毛機器が肌に合わなかったり、事情が変わり通えなくなったりと、解約せざるを得ない状況も想定される。都度払いができる店やコースも検討しよう。
契約にあたり、施術内容や契約条件について契約書面と突き合わせて理解できるまでしっかりと説明を受ける。
(4)クーリング・オフ(無条件での契約解除)できる場合がある。特定商取引法の「特定継続的役務提供」に該当するエステティックサービスの契約であれば、約書面を受け取った日から8日以内なら、書面やメールでクーリング・オフをすることができる。
「特定継続的役務提供」とは、長期・継続的な役務の提供と、これに対する高額の対価を約する取引のこと。現在、エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の7つの役務が対象になっている。
(福田和郎)