日本円だけで持つことのリスク
日本円だけで持っていることのリスクを強調している。日本円しか保有していないと、将来のインフレを見据えて大きなリスクを抱え込むことになるからだ。
著者は、個人的には「資産の50%はその時点で一番安全かつ、高利回りの通貨で保有すべき」と思っているので、現在であればドルでの保有を勧めている。
仮にこれから、日本が米国並みのインフレ率(8%)になっても、日銀が利上げする可能性は低いという。しかし、もし日銀が自身の債務超過リスクもお構いなし、と利上げに踏み切ったらどうなるか?
大きな打撃を受ける代表は、「変動金利で住宅ローンを組んでいる人たち」だという。月々の返済額が増えたとしても上限1.25倍というルールがあるが、ローン返済期間は伸ばすことができない。
したがって、金融機関は、毎月の返済額に増えた利息分を上乗せしていく。つまり、月々の返済額はあまり変わらなくても、その中の金利分の割合が半年ごとに増えていく可能性があるという。
35年の満期を迎えても、返し切れていない分は、最終段階で「一括返済」を迫られる。退職金すべてを返済に充てなければならないというケースも想定される。
さて資産運用だが、「本業をしっかりやること」が、大前提だと説いている。
サラリーマンは「売上の保証された自営業」のことだと、著者は考えている。本業のビジネスが自分にとっての強みであり、収益源であることを忘れてはいけない。だから、これからやろうとする資産運用は、あくまで長期的な展望に立つべきだとしている。
たとえば、FXでポジション(決裁していない約定)を取っている場合、真夜中でもFX取引会社からスマホにアラートが届く。常時、スマホで為替相場を注視するような生活では、本業にも悪影響を及ぼしかねない。
今の40~50代は70代まで働くことが避けられないと予測している。60歳を過ぎたときに自分はどうしていたいのかをイメージすることが重要だという。自分の将来の可能性について真剣に考え、受け身ではなく、積極的に行動することが大切だ。