中国最大不動産「碧桂園」がデフォルト寸前! エコノミストが警告「金融危機リスク沸騰中なのに、一番の問題は中国政府に信頼感がまったくないこと」

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市場もさじを投げる、一番の問題は中国政府の政策に信頼感がないこと

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北京市の天安門広場

   しかし、現在、金融市場で中国リスクへの警戒が沸騰しているというのに、一番の問題は中国政府の政策に信頼感がないことだ、と厳しく批判するのはソニーフィナンシャルグループのシニアエコノミスト宮嶋貴之氏だ。

   宮嶋氏はリポート「金融市場で中国リスクが再燃、そのワケは? 処方箋は?」(8月25日付)のなかで、現在、中国政府の「経済政策不確実性指数」がどんどん増大しており、それと並行して民間企業の投資意欲が低下しているグラフを示した【図表3】。

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(図表3)中国の経済政策不確実性指数と固定資産投資(ソニーファイナンシャルグループの作成)

   つまり、中国政府の経済政策に対する信頼度が下がっているということだが、「経済政策不確実性指数」とはいったい何か。これは、政策をめぐる不確実性や、政策とのかかわりで高まる経済の先行き不透明性を、客観的に定量化しようとするために作られた指標だ。

   補足すると、米スタンフォード大学の教授らによって開発され、(1)経済政策の不確実性に関する新聞報道の総数、(2)先行きに控える税制変更の数、(3)エコノミストによる経済予想の不一致の度合いの3要素で構成される。

   宮嶋氏は、現在、金融市場から中国政府が信頼を失っている理由をこう説明する。

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人民元(写真はイメージ)
「特に不動産市場悪化の深刻化が不安の種とみられるが、中国政府が住宅ローン基準金利の引き下げを見送ったことで、金融市場の不安感は一層増大している」
「景気の下振れリスクが高まるも、人民元安や地方政府債務問題等から金融政策、財政政策ともに大幅拡張の余地は小さく、金融市場の不安払拭は困難。しかし、より大きな問題は政府の政策への信頼感低下」
「中国政府の政策不確実性増大により、民間企業の投資意欲が中期的に低下している。こうした状況では景気対策を発動しても効果が縮小する。より重要な処方箋は、政策の信頼感回復に向けた取り組みだ」

   中国政府も、可能な範囲内での景気対策をすでに実施しており、政府からも景気下支えを意図するメッセージは増えてきている。

   しかし、中国政府の政策予見性が低下して不確実性が高まっており、企業や家計のマインドが冷え込んでいる現状では、景気対策を実施しても、その効果が縮小してしまうことが最大の問題だ、というわけだ。

   その一例として、宮嶋氏はこう指摘した。

「筆者(=宮嶋氏)がまず取り組むべきと考えるのは、情報公開の透明性の向上だ。具体的には経済統計の継続的公表だ。8月の主要経済公表時に、現在広く問題視されている若年失業率の公表が突如、中断された。
こうした政府にとって不都合のように映る経済指標を突然非公表にするといった行為は、政府の経済政策の予見性を低下させるため、望ましくないだろう。
ほかにも、不動産市場の先行指標と考えられる土地購入面積や、消費者信頼感指数も現在公表が停止されている。いずれのデータも、筆者がこのところの中国経済をみるうえで重要と考える経済指標ばかりだ」
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