2024年春卒業予定の大学生の就職活動費用は平均8万2905円と、前年より約1割近く増えている。
リクルートの就職・採用関連の研究機関「就職みらい研究所」(東京都千代田区)が2023年8月31日に発表した「【2024年卒 就職活動TOPIC】 就職活動の費用は増加傾向 対面での選考増加が影響」でわかった。
コロナが落ち着いて、対面による面接機会などが増えたことが影響しているようだ。
交通費で大きな地域格差、関東の学生は九州の約3分の1
リクルート就職みらい研究所の調査によると、全国の2024年卒予定大学生の就職活動費用は平均8万2905円と、交通費などを中心に2023年卒(7万5245円)より7660円増加した【図表】。
費用の内訳をみると、交通費2万1312円、被服費3万6463円、宿泊費1万8544円、飲食費5783円、書籍費1312円、スキルアップ費2万3431円などとなっている。なお、これとは別に公務員志望の大学生は、公務員試験対策費に12万4993円かかっている。
2023年卒と比べると、交通費にプラス3757円、宿泊費にプラス4734円かかっていることが大きい。また、対面での選考機会が増えたせいか、被服費も2963円増加した。
交通費を地域別にみると、落差が激しく、全国平均(2万1312円)を大きく上回っているのは、九州(3万2968円)、中国・四国(2万8457円)、北海道・東北(2万7708円)など。逆に、関東(1万4719円)は一番低い。九州の約3分の1だ。
4年前の平均は約13万円、現在より4万6000円も高かった
しかし、前年(2023年卒)より就職活動費が増加したとはいえ、最終段階以外ではオンライン活用が進んだこともあり、4年前の2020年卒の平均12万8890円よりは4万5985円も費用が減っている【再び図表】。
こうしたことから、リクルート就職みらい研究所の栗田貴祥所長はこうコメントしている。
「就職活動でのオンラインの活用は定着し、学生はうまく使い分けることで学業やプライベートの時間の確保につなげているようです。前年から就職活動費用は増加しましたが、たとえば全国の『交通費』の平均金額は、コロナ禍前の2020年卒と比べると約4割の水準です。
今後も学生の負担が軽減し、少ない費用でより良いマッチングが可能になるような就職・採用活動への発展を期待します」
調査は、2023年6月12日~19日、2024年卒業予定の大学生・大学院生を対象に、リクルートが運営する就活支援サイト「リクナビ」のモニターに登録した学生4567人(大学生3574人・大学院生993人)にアンケートした。(福田和郎)