金価格が初の1万円突破! FRBパウエル議長「インフレとの闘いは終わっていない」発言でさらに加速?「金」は本当に「安全資産」になるのか(井津川倫子)

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世界が注目!ジャクソンホール会議 パウエル議長「インフレとの闘いは続く」発言の波紋

   金価格が史上最高値をつけた背景には、直前に米国西部のワイオミング州で開催された年次シンポジウム「ジャクソンホール会議」で、世界経済の不確実ぶりが明らかになったことが関連していると指摘されています。

   世界中の経済エリートが集うこの会議で、世界経済の構造変化やインフレリスクに立ち向かう「前例のないほどの困難さ」が強調されたと、経済紙フィナンシャル・タイムズが伝えています。

'No playbook':policymakers face up to changing global economy at Jackson Hole
(「筋書がない」 ジャクソンホール会議で政策立案者たちが変化する世界経済に直面:英紙フィナンシャル・タイムズ)
playbook:台本、筋書

   世界経済をかじ取りする難しさを「no playbook」(筋書がない)と評したのはECB(欧州中央銀行)のラガルド総裁ですが、とりわけ世界中が注目したのは、FRB(連邦準備制度委員会)のパウエル議長の次の発言でした。

Inflation fight isn't over
(インフレとの闘いは終わっていない)

   歴史的なインフレに対処しているパウエル議長が、さらなる利上げによる金融政策の引き締めを示唆した発言は、速報ニュースとして瞬く間に世界中に拡散。株や債券市場が敏感に反応するなか、円安が加速して金価格の高騰につながったと報じられています。

   個人的には、ラガルド総裁の「no playbook」(筋書がない)発言の方が、世界経済の予測不能ぶりがひしひしと伝わってきて背筋が寒くなりましたが、パウエル議長のひと言で世界経済が大きく動くことが浮き彫りになった出来事でした。

   ここにきて、中国経済の悪化が懸念されるなか、「安全資産」はこの先どう移り変わっていくのでしょうか。金価格もさることながら、「安全な逃避先」の動向に注目していきたいと思います。

   それでは、「今週のニュースな英語」「safe haven」(安全な逃避先)を使った表現をご紹介しましょう。金融以外の文脈でもよく使われるフレーズです。

Starbucks is like a safe haven for remote worker
(スタバはリモートワーカーにとって安息地のようなものだ)

Why the yen has lost that safe haven position?
(円はなぜ、安全資産ではなくなったのか?)

Safe haven dollar climes to 6-week high
(安全資産のドルが6週連続で上昇)

   年に一度、世界中のエリートが風光明媚な田舎に集まって経済政策を討議するジャクソンホール会議。英BBC放送によると、自然あふれる土地でハイキングなどを楽しみながら「インフォーマル」に語り合うことで、困難な世界経済をかじ取りする人間関係が育まれるそうです。

   もしかしたら、ジャクソンホール会議は、彼らにとっての「safe haven」なのかもしれません。(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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