「年収の壁」と「扶養枠」あったほうがいい? 働く女性に聞くと...半数がジレンマに悩む「外すと思いっきり働けて、収入増えた」「税金ひかれて、働き損」

「社会保険を会社が負担しないようにしか、シフトを入れてくれない」

夫が、家事中心で働いてほしいと望むので(写真はイメージ)
夫が、家事中心で働いてほしいと望むので(写真はイメージ)

   さらに、「必要か不要かは一概に言えない」と答えた人の意見はこうだった。

「長期間の仕事に従事できれば、枠から外れて働けばよい。子どもや親の面倒を見る必要がある人は枠内でと、人それぞれかと思います」(70代:年収103万円)
「子どもが小さいうちは、病気や風邪で休むことが増えるので、フルで働くのは難しい。だから、その期間は扶養内であれば控除も受けられて、いいとは思います。子供に手がかからなくなれば、正社員やフルで働くのがいいと思うので、そんな場合は扶養枠はいらない」(30代:年収103万円)

   「一概には言えない」という人のなかには、

「130万円程度では家計に余裕ができるわけではない。せめて、年収200万円ほどは控除内にしてほしい」(40代:年収130万円や月収8万8000円)

と控除枠の拡大を望む人や、企業自身が、

「扶養ではないが、社会保険、雇用保険に会社が入れないようにしかシフトを入れてくれない。結果、人手不足の悪循環になっている」(50代:年収130万円や月収8万8000円)

と、控除を利用するよう仕向ける実態を指摘する意見もあった。

   今回の調査について、しゅふJOB総研研究顧問の川上敬太郎さんはこうコメントしている。

「『収入制限は気にしない』と回答した人の比率は『パート・アルバイト』が20.2%だったのに対し、『派遣社員』は57.3%と大きな差がありました。働き方別で2021年の調査と比較すると、『パート・アルバイト』は7.6ポイント減少したのに、『派遣社員』は2.6ポイント増加しました。
比較的時給が低い『パート・アルバイト』は扶養枠内に収める方向にシフトし、比較的時給が高い『派遣社員』は扶養枠を外す方向へとシフトする二極化の傾向が見られます」
「一方、『時給でいくらなら、扶養枠を外して働くか』を聞くと、2021年調査より、低い金額でも扶養枠を外そうとする方向へシフトしていることが見てとれます。物価高などで家計がひっ迫してきている影響もあるのでしょう。
また『扶養枠をどう思うか』という質問には、『一概に言えない』(48.0%)が最も多く、次いで『必要』(28.3%)、『不要』(16.3%)でした。半数近くが、『一概に言えない』とジレンマを感じているようです。
フリーコメントにも、『制度がわかりづらい』とする声がたびたび見られました。扶養枠をめぐっては、年収上限のあり方だけでなく、制度のわかりにくさも課題ではないかと感じます」

   調査は2023年7月11日~18日、求人サイト「しゅふJOB」などに登録している就労志向のある主婦(主夫を含む)621人に聞いた。(福田和郎)

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