スマホのマナーモードも、オートフォーカスも...世界最小「モーター」は白木社長が開発した 今度の挑戦は「風力発電機」だ!/コアレスモータ 社長・白木学さん

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「未完成」のコアレスモーターが世界を変える!?

――軽く押すだけで自動走行する車イスの開発にも力を入れているそうですね。

白木社長 今は新しいモーターに集中しようと考えています。コアレスモーターに打ち込むだけではなく、大出力のモーターを使った、大きい製品の開発に取り組み、実証実験も進めています。軽くても大きな力を発揮できるコアレスモーターの特性を生かした、応用できる製品はいろいろと考えられます。モノを動かす原動力であるモーターには、そういう力と夢があります。
たとえば、将来的には今のようなクルマのエンジンをEVモーターに換えるだけではなく、「イン・ホイール・モーター」で直接回せる特殊なコアレスモーターを採用することにも挑戦したいと考えています。
今、その前段階といいますか、「電動車イス」のタイヤ部分にコアレスモーターを搭載して走行できるように開発しています。ほぼ実用化できるメドが立ちました。タイヤを軽く動かすだけで走ることができますから、障がいがある方などに便利に使ってもらえると思います。
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白木社長は「モノマネはしない。自分たちで考えたものを商品化する」と語る。

――長くモーターの開発、製造に携わってこられました。白木社長を突き動かす「原動力」はどこからくるのでしょうか。

白木社長 私は人のモノマネは絶対にしません。かつて、日本製は米国製にかないませんでした。「猿まね」と言われ、バカにされていたときも、「そんなもんじゃない。日本人として、もっと自覚を持ってプライドを持ってやりたい」という思いがありました。それが学生時代の、一番の原動力ですね。
自分たちで考えたもののほうが良いし、それを商品化して売ろうと。それがわが社の姿勢です。一つは、アイデアが出てきて、それを製品化することが好きだということでもあります。
開発は失敗の連続です。ただ、すべてが失敗だといえば、すべてが失敗ですが、すべてが成功といえば、すべてが成功なんですよ。開発する手を止めなければ、まだまだ、もっといいモーターができるのだから。
私は常に「独自の新しいアイデアを出している製品がありますか」と、私自身に聞いていたいんですね。その時はその商品が一番よかった。今、この時点では前よりは成功しています。でも、これからまだまだ進むに決まっている。進まないと、私の存在意義はない。
みんな、それを「未完成の完成」と呼ぶのですが、そもそも、どんなものも「完成」などということはあり得ないんです。「人生、未完成のままで終わるんだ」と思うんです。それが私のモノづくりの原動力というか、私の思いはそういうところにあります。

――ありがとうございました。

(聞き手・構成/J-CAST 会社ウォッチ編集部)



【プロフィール】
白木 学(しらき・まなぶ)

コアレスモータ株式会社 代表取締役社長

1969年に東京理科大学を卒業後、私設研究所でモーターの研究に従事。1979年、コアレスモータの前身、シコー技研を設立。超薄型コアレスモーターを開発し、ソニーの「WALK MAN」初号機に搭載される。その後、超薄型コアレス・ファンモーターが米インテルPentium第1世代に搭載。1994年には世界最小のモーターが米モトローラの世界初のマナーモード機能搭載携帯電話に採用された。1999年に信州大学大学院総合理工学研究科修了 工学博士。2017年、コアレスモータを設立。
岐阜県出身。

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